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野村リサーチ

2026.07.02 NEW

株式市場は「機関投資家vs個人投資家」の構図 高まる個人投資家の存在感 野村證券ストラテジストが解説

株式市場は「機関投資家vs個人投資家」の構図 高まる個人投資家の存在感 野村證券ストラテジストが解説のイメージ

「AI関連かそれ以外か」という構図の中でAI関連ETFの大幅資金流入は継続

2026年6月は、月初に外国人や投資信託の保有比率が高い銘柄の間でも、株価モメンタム(勢い)の違いによるパフォーマンス差が拡大し、「AI関連かそれ以外か」で銘柄選別が進みました。そのうえで、株価モメンタムファクターなどは月中の動きが強かったため、期末リバランス(資産配分の調整)ではいったん逆方向の動きが強まる可能性を指摘していました。月末が近づくにつれて、6月中旬以降に大幅なプラスとなっていたファクターは、再びマイナス幅を広げています。

こうしたリバランスを行っているのは、主に機関投資家と考えられます。各運用機関のルールに従い、リスク管理の一環として組み入れ比率の調整などを実施しているとみられます。足元の相場では、一部の高ボラティリティー株で、上昇相場にもかかわらずボラティリティー(変動率)が異例の高水準にあります。

高ボラティリティー株のボラティリティー水準(1996年以降)

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(注)TOPIX500ユニバース。250日ボラティリティーに基づいて、20分位に分けた時の第20分位(最高分位)及び第19分位の中央値ボラティリティー。ボラティリティーは年率換算値。1996年以降。
(出所)QUICK、Bloomberg、IFISより野村證券市場戦略リサーチ部作成

ポートフォリオ構築上、高ボラティリティー銘柄の取り扱いに苦慮していると推察されます。また、ファクター間の分散効果も機能しにくい状況です。このように、リスク管理を重視する投資家にとって、足元の一極集中でボラティリティーの高い相場は、非常に難しい運用環境といえます。一方で、リスクの面では対極にあると考えられる個人投資家の動きにも注目すべきです。

直近10~15年程度のボラティリティー水準を基準にリスク管理を行っている投資家は、足元の市場環境では運用上の柔軟性が相当に制約されていると考えられます。一方、相対的にリスク制約の小さい個人投資家は、テーマ株投資などに引き続き積極姿勢を維持しています。例えば、ラウンドヒル・メモリーETF(上場投資信託)は、4月に上場したばかりにもかかわらず、累積資金流入額が約180億米ドルに達しています。これに類似する商品は、規模の大小を問わず数多くあると考えられます。いわば「グローバル個人投資家」とも捉えられる投資家が、日本株での存在感を高めている可能性があります。

特に株価モメンタムファクターは、2026年に入って何度も大幅な短期的下落を繰り返しています。仮にこれらの下落局面で大きなドローダウン(資産価格の下落)を被った投資家が存在する場合、経験則上は、強制的なポジション解消などを契機に市場の混乱が一段と拡大しても不思議ではありません。しかし、実際には大きな混乱は確認されておらず、モメンタムファクターは6月中旬まで高値圏を維持しました。これは、現在の株式市場ではリスク管理を重視する機関投資家よりも、相対的にリスク制約の小さい個人投資家が相場形成を主導する場面が目立つためとも考えられます。

前述の通り、期末リバランスはリスク管理を重視する機関投資家が主体です。これらの投資家の動きが市場に与える影響は引き続き大きいと考えられますが、相対的にリスク制約の小さい個人投資家の存在感がより大きい場合、従来に比べてその影響力は小さくなると想定できます。

ETFフローには注目、イベントとしては大型IPOが要注意

ここまで述べたように、グローバル個人投資家の存在感が増しているとみています。これらの投資家の動向を把握することは、一極集中相場の持続性を考えるうえで重要です。もっとも、これらの投資家の動向を細かく捉えられるデータは限られるため、ETFフローは重要な手がかりとなります。参考までに、過去に大幅な資金流入が観察されたロボティクス関連銘柄ETFの資金フローを見ると、強い資金流入が確認された後、おおむね1年前後で流出に転じていることが分かります。

ロボティクス関連株グローバルETFの累積資金流出入の推移(2017年前後)

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(注)Robo Global Robotics & Automation Index ETF (ROBO US Equity)、Global X Robotics & Artificial Intelligence ETF (BOTZ US Equity:FUND_FLOWで取得できなかったため発行済み口数(EQY_SH_OUT)で代替)。2016年10月から2018年末まで。
(出所)QUICK、Bloomberg、IFISより野村證券市場戦略リサーチ部作成

2025年5月以降、大幅な資金流入が観察されていたiシェアーズAIイノベーション・アンド・テック・アクティブETFは、資金流入が強まってから約1年を経た足元で流出基調に転じています。ラウンドヒル・メモリーETFは直近上場のため、なお資金流入余地が大きいとみています。一方で、iシェアーズAIイノベーション・アンド・テック・アクティブETFの動きを踏まえると、AI関連の資金流入はほぼ一巡感が出てきているとの見方もできます。したがって、今後も資金フローを注意深く確認する必要があると考えられます。

需給の観点では、2026年秋前後に実施されるとみられるAI開発企業の大型IPO(新規株式公開)も重要なイベントとなるでしょう。大型IPOは市場から資金を吸収するイベントであるため、既存のAI関連銘柄やテーマETFからの資金流出を通じて、需給環境に影響を及ぼす可能性があります。特に、グローバル個人投資家による新規公開銘柄への資金流入が、既存銘柄の上値を抑える要因となることも考えられます。したがって、当該IPOはAI関連銘柄に対する選好度の持続性を見極めるうえでの試金石となるでしょう。

TMTバブル期を参考にすると、現在の一極集中相場は8合目

最後に、TMT(テクノロジー・メディア・通信)バブル期との比較で、現在の一極集中相場の到達度合いを更新します。足元で累和超過リターンは55%(6月29日時点)となっており、8合目程度(TMTバブル期の70%程度に対して8割到達)といえます。

(編集:野村證券投資情報部)

編集元アナリストレポート

日本株クオンツメモ – 市場は機関投資家vs個人投資家の構図(2026年6月30日配信)

(注)各種データや見通しは、編集元アナリストレポートの配信日時点に基づいています。画像はイメージ。

※本記事は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としており、投資勧誘を目的として作成したものではございません。また、将来の投資成果を示唆または保証するものでもございません。銘柄の選択、投資の最終決定はご自身のご判断で行ってください。

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