2026.08.07 NEW
「リバーサルのリバーサル」も完全には元に戻らず 日経平均株価の高値奪回には1年程度かかる傾向 野村證券ストラテジストが解説
「リバーサルのリバーサル」を取る前に退場した24歳の天才
2026年6月22日をピークに下落したSOX(フィラデルフィア半導体株指数)、KOSPI(韓国総合株価指数)、日経平均株価は、7月29日にいったん底を打ちました。中国の生成AI創業者ファンドの巨額損失が話題となりましたが、その損失を上回る事例も起きています。
象徴的なのが、6月まで絶好調だった米ヘッジファンドのシチュエーション・アウェアネスです。AI・半導体株をレバレッジ運用した結果、7月の運用収益率はマイナス67%となりました。その後、資産の大半をシタデルに売却したため、相場の反発局面を逃しました。シチュエーション・アウェアネスを運用するのは、米オープンAI元社員の24歳の若者です。配偶者は米アンソロピックのCEO(最高経営責任者)首席補佐官を務めており、AIを駆使しても相場運用は難しいことを物語っています。
1998年のLTCM(ロングターム・キャピタル・マネジメント)ショックや2007年のGS(ゴールドマン・サックス)クオンツショックと同様、一極集中の危険性を示す事例にもなるでしょう。7月29日を境に、日本株ではAI・半導体株が反発する一方、SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)やアニメ関連株は反落しました。日本株のセクター・スタイル別では、7月29日にかけて1~6月の勝ち組が上昇分の半分を失うリバーサル(反転)が起きました。7月29日以降は、6月末以降の負け組が下落分の半分を取り戻す「リバーサルのリバーサル」が生じました。
7月以降のように、日経平均株価の短期的な下落とリバーサルが重なった局面を振り返ると、元の高値を奪回するまでには1年程度かかる傾向があります。こうした局面では、指数が反発してもモメンタム(勢い)への逆風が続く傾向もみられました。
セクター人気では金融が突出、7月後半以降に自社株買い枠設定が急増
8月3日のQUICK週次調査では、セクター人気で金融が突出し、電機・精密の人気は5~6月に比べて低下しました。当面は銀行株とAI・半導体株のポジション調整が意識されやすい一方、AI・半導体株の調整が先行するとも想定できます。需給面では、7月末以降に大型の自社株買い枠設定の発表が増え、8月5日時点の2026年年初来では20兆円に達しました。M&A(合併・買収)やアクティビスト(物言う株主)による日本株取得の動きも続いています。
(注)QUICK週次調査は毎週初に公表される市場参加者アンケートで、各セクターに関する「ブル」回答比率-「ベア」回答比率。10セクターのうち人気度の上位3セクターを翌週にロング、人気度の下位3セクターを翌週にショートとして計測(等ウェイト)。直近は2026年8月3日時点。
(出所)QUICK、JPX総研より野村證券市場戦略リサーチ部作成
決算中盤戦も堅調:「数量効果・値上げ>コスト増」に加え円安等で嵩上げ
8月5日までに公表された2・3月本決算企業の2026年度1Q(第1四半期)決算は堅調でした。全産業(金融・公益を除く)で、売上高は前年同期比14.2%増、経常利益は同56.9%増となり、公表済み企業の7割前後が増益でした。
一方、売上原価や販売費は前年同期比で2桁増となっており、コストと値上げへの関心も高まっています。営業利益の要因別では「数量効果・値上げ効果>コスト増加の影響」に加え、円安効果や前年の関税負担の反動(関税還付など)が押し上げ要因となっています。このため、一過性要因を調整してみる必要があるでしょう。決算発表後の株価反応をみると、好材料へのポジティブ反応は当初弱いものの、徐々に織り込む傾向もみられます。
(編集:野村證券投資情報部)
編集元アナリストレポート
日本株ウィークリー(2026年8月6日) – 「リバーサルのリバーサル」も完全には元に戻らず(2026年8月6日配信)
(注)各種データや見通しは、編集元アナリストレポートの配信日時点に基づいています。画像はイメージ。
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