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野村リサーチ

2026.08.03 NEW

日銀利上げ継続なら中長期目線でバリュー強気は不変 AI関連銘柄とのスイッチング相場は続くとみる 野村證券ストラテジストが解説

日銀利上げ継続なら中長期目線でバリュー強気は不変 AI関連銘柄とのスイッチング相場は続くとみる 野村證券ストラテジストが解説のイメージ

モメンタム下落の裏でバリューが高値更新

野村證券は2025年6月以降の日本株市場では、日経平均株価をTOPIX(東証株価指数)で割った「NT倍率」の上昇とバリュー(割安)の上昇が交互に生じていると述べてきました。2026年4月以降はNT倍率が急上昇し、バリューは低迷しましたが、6月下旬以降は株価モメンタム(勢い)の低下とともにNT倍率が急低下する一方、バリューは7月13日以降29日まで12日連騰するなど、大きく反発しました。

BPR及び予想EPRの累和ファクターリターンとNT倍率

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(注)TOPIX500ユニバース。2025年以降。NT倍率(日経平均株価/TOPIX)は右軸。
(出所)QUICK、Bloomberg、IFISより野村證券市場戦略リサーチ部作成

なお、NT倍率は4月初めより依然として高い水準にある一方、バリューは4月初めの水準を上回り、昨年来高値を更新しています。また、BPR(純資産株価倍率)及び予想EPR(株式益回り)ファクターについて、割高側・割安側の累和超過リターンをみると、特にBPRについて割安側は昨年来高値を、割高側は昨年来安値を更新していることが分かります。更に、株価モメンタムファクターが大幅に上昇した4月以降でも、割安側の下落は軽微にとどまっていたことが分かります。

BPR割安株と割高株の累和超過リターン(2025年以降)

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(注)TOPIX500ユニバース。BPRに基づいて5分位に分けた時の最割安分位(第5分位)及び最割高分位(第1分位)。2025年以降。
(出所)QUICK、Bloomberg、IFISより野村證券市場戦略リサーチ部作成

NT倍率が急伸し、バリューが停滞する場面でも日銀の利上げが継続するなら中長期目線で買い場とみています。一極集中物色が起きる中でも割安銘柄の相対的な下落は軽微にとどまっていることからも、日銀要因は引き続き有効性が高いといえます。中長期目線でバリューに対して強気という野村證券の見通しは変わっておらず、次にモメンタムファクターが強含む場面でも買い場になるとみています。以下ではバリューとモメンタムの関係について述べます。

AI主導の成長期待が揺らぎ始めたのか?モメンタムは4月以降の上昇分を帳消しに

まず、足元でのモメンタムファクターの状況を確認します。野村證券はこれまでに、供給制約に対する不透明感の解消としてのローテーションがまず起きるとしました。ただし、「供給制約に対する不透明感の解消」よりも「AI関連かそれ以外か」の方が物色ドライバーとしては強いとみており、ローテーションの一巡後には業績が相対的に良好な銘柄が選択された結果、モメンタムファクターは上昇することになるという見通しを述べました。

過去3ヶ月株価モメンタム及び過去12ヶ月株価モメンタムについて、供給制約懸念に伴う業績下方修正が始まった2026年4月以降の累和ファクターリターンをみると、7月28日にマイナスとなり、この間の上昇幅をすべて帳消しにする程度まで下落しています。これをもって「供給制約に対する不透明感の解消」はほぼ完了したとみており、物色は次第に業績が相対的に良好な銘柄が選択される状況になると考えています。

ただし、気になる点が1つあります。グロース(成長、BPR割高株)と株価モメンタムで2段階にソートしたポートフォリオの超過リターンの動向をみると、特に2026年以降、グロースかつ高株価モメンタム株の大幅な上昇が目立つ中で、いわゆるAIディスラプション(構造変革)懸念銘柄が多く含まれるグロースかつ低株価モメンタム株は低迷が続いていました。供給制約懸念に伴う業績下方修正が始まった2026年4月以降もレンジ内で動いており、モメンタムファクターの下落が始まった6月下旬以降も当該レンジ内で推移しました。ところが、7月第5週に入り、グロースかつ高株価モメンタム株の下落が加速すると、グロースかつ低株価モメンタム株の大幅な上昇も目立ってきたのです。

グロース(BPR割高)と過去12ヶ月株価モメンタムの2段階ソートポートフォリオにおける累和超過リターン(2025年以降)

日銀利上げ継続なら中長期目線でバリュー強気は不変 AI関連銘柄とのスイッチング相場は続くとみる 野村證券ストラテジストが解説のイメージ

(注)TOPIX500ユニバース。BPRに基づいて3分位に分けた時の最割高分位について、過去12ヶ月株価モメンタムに基づいて3分位に分けた時の高株価モメンタム及び低株価モメンタムの超過リターン。2025年以降。
(出所)QUICK、Bloomberg、IFISより野村證券市場戦略リサーチ部作成

この株価の動きを解釈すると、2つの仮説が想定されます。1つは、月末接近やパフォーマンス悪化に伴う強制アンワインド(解消)の動きなどにより、短期的に株価が過剰反応している可能性です。もう1つは、AI主導の成長期待に対して投資家は疑念を強めている可能性、すなわち「AI関連かそれ以外か」のドライバーの勢いが鈍化している可能性です。

前者が野村證券の現時点でのメインシナリオであり、直近の動きは一過性とみているため、8月に入り決算発表を消化するにつれてこの動きは収束していくことになると考えています。ただ、仮に後者であれば、その状況を定量的に捉えることは難しいですが、株価モメンタムファクターの下落は継続することになるでしょう。この場合、NT倍率の上昇が加速し始めた4月初めの水準である14.6前後が当面の目安となるでしょう。

バリュー内での株価モメンタムによるパフォーマンス格差もほぼ解消され、元に近い状況に戻る

更に、バリュー(BPR割安株)と株価モメンタムで2段階にソートしたポートフォリオの超過リターンの動向をみると、年始以降乖離した両者のスプレッドは足下でほぼ無くなってきています。

バリュー(BPR割安)と過去12ヶ月株価モメンタムの2段階ソートポートフォリオにおける累和超過リターン(2025年以降)

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(注)TOPIX500ユニバース。BPRに基づいて3分位に分けた時の最割安分位について、過去12ヶ月株価モメンタムに基づいて3分位に分けた時の高株価モメンタム及び低株価モメンタムの超過リターン。2025年以降。
(出所)QUICK、Bloomberg、IFISより野村證券市場戦略リサーチ部作成

バリューについては、長期的にバリュー株全体が平均的に上昇する傾向があることから、バリュー株内での選別をせず、ファクターで持つのが無難であると主張してきました。株価モメンタムファクター主導の一極集中物色によって、バリューファクター内でもモメンタムでパフォーマンス格差の拡大が一旦見られましたが、足元ではそれもほぼ解消しているといえます。この点からも、一極集中物色についてはその歪みの解消が相当量進んだと考えることができるでしょう。いずれにせよ、日銀が利上げを継続するならバリューは中長期目線では強気という見方を変える必要はないと考えています。以下に今のバリュー株を示しました。

BPRから見た割安銘柄
コード 銘柄名 予想PER 実績PBR
(倍) (倍)
1333 Umios 12.85 0.85
1911 住友林業 7.69 0.84
3291 飯田グループホールディングス 9.44 0.65
3405 クラレ 15.18 0.77
3861 王子ホールディングス 14.88 0.74
3941 レンゴー 12.62 0.85
4114 日本触媒 17.55 0.82
4118 カネカ 12.47 0.72
4208 UBE 12.04 0.77
4902 コニカミノルタ 11.06 0.64
5019 出光興産 10.01 0.84
5110 住友ゴム工業 8.09 0.84
5233 太平洋セメント 8.33 0.73
5401 日本製鉄 9.27 0.65
5406 神戸製鋼所 8.20 0.65
5411 JFEホールディングス 8.36 0.46
5711 三菱マテリアル 8.77 0.70
5938 LIXIL 22.20 0.84
6178 日本郵政 12.92 0.72
6471 日本精工 14.56 0.82
6472 NTN 8.81 0.73
6473 ジェイテクト 9.40 0.84
7181 かんぽ生命保険 11.72 0.47
7201 日産自動車 9.66 0.28
7211 三菱自動車工業 10.59 0.62
7240 NOK 13.86 0.78
7259 アイシン 9.44 0.83
7261 マツダ 6.10 0.40
7267 本田技研工業 8.75 0.65
7270 SUBARU 9.44 0.73
7313 テイ・エス テック 18.91 0.76
7752 リコー 13.51 0.81
8424 芙蓉総合リース 7.86 0.83
8570 イオンフィナンシャルサービス 11.90 0.73
9022 東海旅客鉄道 8.11 0.84
9048 名古屋鉄道 11.09 0.81
9101 日本郵船 13.17 0.81
9104 商船三井 11.60 0.75
9404 日本テレビホールディングス 13.85 0.80
9501 東京電力ホールディングス 3.26 0.25
9502 中部電力 10.58 0.67
9503 関西電力 10.16 0.80
9504 中国電力 6.08 0.48
9505 北陸電力 5.55 0.44
9506 東北電力 5.97 0.53
9507 四国電力 7.78 0.70
9508 九州電力 6.12 0.73
9509 北海道電力 5.67 0.48
9513 電源開発 9.14 0.48

(注)TOPIX500ユニバース。BPR割安度上位10%銘柄。PERはIFIS予想、来期優先。7月29日時点。
(出所)QUICK、Bloomberg、IFISより野村證券市場戦略リサーチ部作成

(編集:野村證券投資情報部)

編集元アナリストレポート

日本株クオンツメモ – モメンタム下落の裏でバリューが高値更新(2026年7月30日配信)

(注)各種データや見通しは、編集元アナリストレポートの配信日時点に基づいています。画像はイメージ。

※本記事は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としており、投資勧誘を目的として作成したものではございません。また、将来の投資成果を示唆または保証するものでもございません。銘柄の選択、投資の最終決定はご自身のご判断で行ってください。

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