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2026.08.12 NEW

AI・半導体、金利上昇、防衛… 2026年後半の日本株テーマを深掘り 野村證券・大坂隼矢

AI・半導体、金利上昇、防衛… 2026年後半の日本株テーマを深掘り 野村證券・大坂隼矢のイメージ

撮影/タナカヨシトモ(人物)

2026年前半の日本株はAI・半導体関連が相場全体をけん引しました。一方で、日本銀行の利上げや政府による防衛力強化といった重要な取り組みの動向も関心を集めています。投資家は今後どのようなテーマに注目しておくと良いのか、野村證券シニア・ストラテジストの大坂隼矢が2026年後半の見通しを点検します。

AI・半導体、金利上昇、防衛… 2026年後半の日本株テーマを深掘り 野村證券・大坂隼矢のイメージ

AI・半導体への設備投資が続くかどうかが焦点

2026年前半は日経平均株価が急ピッチで上昇しました。AI・半導体相場をどのようにみていますか。

2026年1月から6月までの株価上昇率上位10銘柄のパフォーマンスをみると、年前半はやはりAI・半導体が最も上昇した形となりました。一方、株価下落率上位10銘柄をみると、中東情勢悪化を背景とする原油価格の上昇が小売企業などのパフォーマンスに影響した可能性があるほか、AIによる代替が懸念される「AI脅威論」でゲームを含むソフトウェアの下落が目立ちました。

一方で、7月の騰落率(7月21日時点)をみると、年前半の株価上昇率上位10銘柄と下落率上位10銘柄のパフォーマンスがきれいに逆転しました。短期的な調整、セクターローテーションがみえたと言えるのではないでしょうか。7月は4~6月期の決算発表が本格化する直前で、決算発表による業績の鮮度が落ちてボラティリティが上がっていた可能性もありそうです。

2026年1~6月の株価上昇率の上位10銘柄

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2026年1~6月の株価下落率の上位10銘柄

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(注)対象は東証プライム市場上場銘柄のうち、2026年7月21日時点で時価総額が1兆円以上の銘柄。2026年7月の騰落率は7月21日時点。
(出所)東京証券取引所より野村證券投資情報部作成

日経平均株価は2025年年初の4万円から足元では7万円まで上昇していますが、その間の上昇寄与額をみると、ソフトバンクグループやアドバンテスト、東京エレクトロンと半導体関連で過半を超えるほど押し上げられていることがわかります。2026年後半の株式市場の動向を見通すうえで、AI・半導体は注目せざるを得ないテーマといえます。

日経平均の上昇寄与額にみるAI・半導体関連の寄与

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(注)データは日次で、直近値は2026年7月15日。半導体関連は、半導体関連の素材や製造装置を取り扱う信越化学工業、SUMCO、ルネサスエレクトロニクス、レーザーテック、SCREENホールディングス、ディスコ、イビデン、キオクシアホールディングス。
(出所)日本経済新聞社、ブルームバーグより野村證券投資情報部作成

AI・半導体関連を主導している米国の株式相場や大手テクノロジー企業の設備投資はどのような状況ですか。

米国市場でも、AI・半導体関連株が大きく上昇したことで、ITバブルとの比較も散見されます。実際に、テクノロジー企業の構成ウェイトが高いナスダック総合指数の株価推移は、ITバブルと同じような上昇軌道をたどっています。しかし、ナスダック総合指数の予想PER(株価収益率)の上昇は限定的と言える状況です。なぜなら、ITバブル期と比較し、利益の成長スピードが高いと予想されており、EPS(1株当たり利益)が大幅に伸びているためです。ここはITバブル時と大きく異なる点と言えるでしょう。

今後、米スペースXをはじめとする大型IPOには注意が必要です。こうした企業は、期間損益が赤字ないしは収益があまり出ていない状況で市場に参入するため、指数に組み入れられた際に、EPSを押し下げ、PERが上昇する可能性があるためです。とはいえ、現時点では、AI・半導体関連の利益は伸びていくと予想されており、今後もこの伸びが続いていくかが重要な論点となります。

この点を確認するうえで重要なチェックポイントは、ハイパースケーラーの設備投資の動向です。ハイパースケーラーとしては、メタ・プラットフォームズ、オラクル、マイクロソフト、アルファベット、アマゾン・ドットコムの大手テクノロジー企業5社が代表的で、これらの企業がデータセンターなどのAI投資を活発化させており、関連する企業の業績を押し上げているためです。この設備投資については概ね2026年4-6月期の決算でも上方修正が続いています。なお、この5社の設備投資額の総額は、同じく5社の営業キャッシュフローの総額に近い水準に達しており、市場では過剰投資に対する懸念もみられます。テクノロジー企業の設備投資の上方修正が続くか、また投資によるAIビジネスの拡大がみられるかどうかが焦点となりそうです。

ハイパースケーラーの設備投資の結果、異次元の拡大を続けていくと予測されているのが、半導体市場です。2027年の市場規模は従来1兆米ドルと言われていたのですが、既に2兆米ドル近い水準の見通しになっています。これほどの上方修正があったために、日経平均株価がAI・半導体関連株主導で急上昇したということも納得できる状況と言えるのではないでしょうか。

世界半導体市場規模

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(注)世界半導体市場規模は年次で、直近の実績値は2025年。半年に1度WSTS(世界半導体市場統計)が市場予想を公表している。
(出所)WSTSより野村證券投資情報部作成

ただし、AIにより異次元に大きくなったとはいえ、半導体にはサイクルがありますので、いつまでもこの伸びが続くということはないと思います。特に今回、予測が急速に拡大した背景は、AI投資による半導体需要の強さを受けた数量の拡大もさることながら、供給不足による価格の高騰も大きな要因です。需給の落ち着きによる価格の低下はいずれやってくるとみられますので、やはり、さきほど焦点になるとお伝えしたテクノロジー企業の設備投資額の動向に注目したいです。

日本の金利上昇で恩恵を受ける業種も

日本でAI・半導体関連以外の業種の動向はどうなっているのでしょうか。

日本の東証33業種別騰落率と、業種ごとの代表的な時価総額上位3社をみると、やはりAI・半導体に関連する業種の上昇は目立ちます。一方、AI関連以外では、銀行業や保険業、その他金融業が好調に推移したことがわかります。AI・半導体関連が軟調だった7月も堅調でした。

東証33業種 2026年1~7月の上昇率トップ10(騰落率、%)

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(注)東証33業種の2026年上昇率上位10の業種を掲載。期間は2026年初から2026年7月21日まで。数値は騰落率で単位は%。銘柄は各業種の時価総額上位3社を掲載。HDはホールディングス。三菱UFJ FGは三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友FGは三井住友フィナンシャルグループ、みずほFGはみずほフィナンシャルグループ、MS&ADはMS&ADインシュアランスグループホールディングス。
(出所)東京証券取引所より野村證券投資情報部作成

金融の業種が堅調であった要因としては、国内金利の上昇が挙げられます。金利上昇の恩恵を受ける業種としては銀行が代表的です。銀行各社では、足元の金利上昇を背景に、国内銀行の貸出金利の上昇は続いています。日本の長期金利の指標となる新発10年国債利回りは、2026年7月に一時2.9%まで上昇し、約30年ぶりの水準となりました。市場金利の上昇は今後も、銀行の貸し出しにおける約定金利の上昇へ波及していくとみられ、銀行の利益拡大余地は大きいとみられます。

実際に、邦銀大手3社の連結実質業務純益の推移をみてみましょう。2016年の日本銀行(日銀)のマイナス金利導入により、銀行各社は収益力が低下しました。しかしその後、手数料収益の伸長や海外の資金利益の増加に取り組むことで利益水準を回復させました。そして、日銀のマイナス金利政策解除、その後の追加利上げにより、債券の流通利回りや貸出金利が上昇しています。大手邦銀においては、国内預貸金利回り差の改善傾向が定着しつつあることが、銀行の収益力向上につながっています。そのため、マイナス金利解除以降は業績の伸びがさらに加速しており、今後も高い利益成長が続くと野村證券ではみています。

邦銀大手3社の連結実質業務純益推移

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(注)実質業務純益は銀行などの金融機関が本来の業務(預金や貸出、手数料ビジネスなど)で稼ぎ出した利益を指す。邦銀大手3社は、三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループの3社。2027.3期以降の予想は野村證券エクイティ・リサーチ部(2026年7月21日時点)。
(出所)野村證券エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成

また、利上げにより国内銀行のROE(自己資本利益率)向上も期待できるでしょう。かつては低PBR(株価純資産倍率)で苦しんでいた銀行のROEは、利上げにより押し上げられるとみられ、さらなるバリュエーションの向上も期待できるとみています。

日本の銀行各社 金利上昇のROEへの影響

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(注)預金利ざやの拡大に着目した、一定の前提に基づく野村證券エクイティ・リサーチ部の試算。金利更改の時間軸を考慮していない。将来的なオーガニック利益成長や現金預け金残高の増減などバランスシート残高・構成の変化は想定しない。現行の親会社株主利益とROEは2025.3期実績値。金利カーブのパラレルシフトを前提に、預金追随率(預金金利引き上げ幅÷政策目標金利引き上げ幅)を普通預金金利(有利子)は40%, 定期性預金は70%と想定。資産利回りの追随率は100%と想定。限界経費率はゼロと想定。FGはフィナンシャルグループ、HDはホールディングス。三菱UFJ FGは三菱UFJフィナンシャル・グループ、 三井住友TGは三井住友トラストグループ。
(出所)会社資料、ブルームバーグ、野村證券エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成

防衛は中長期的にパフォーマンス改善が続くか

日本では中長期的には防衛力強化といった課題があると思います。防衛関連は投資先としてどうみていますか。

AI・半導体と同様に、日本で成長が期待されるテーマの1つには防衛が挙げられます。長らく横ばいであった日本の防衛費は、2023年度以降、装備品等購入費に加え、維持費等、施設整備費や研究開発費の増加が目立っています。防衛費の増加は、日本の防衛関連企業の売上高に相当すると考えられます。米国のように防衛費の増加が定着化すれば、日本の防衛企業も恒常的な成長を遂げる可能性があると言えるでしょう。防衛については、こちらの動画後半で解説しております。ぜひご覧ください。

日本の防衛費の推移

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(注)SACO関係経費、新たな政府専用機導入に伴う経費、防災・減災・国土強靭化のための3ヶ年緊急対策に係る経費を除く。
(出所)防衛省より野村證券投資情報部作成

売上高に加え、防衛事業の収益性にも変化がみられています。日本企業の防衛事業は、全社売上高に占める比率が低く、規模の小ささと価格抑制力の強い調達慣行の下で、利益率は低位にとどまってきました。収益性の低さは、事業の継続や拡大に対する制約となります。これに対し政府は2023年度以降、QCD評価(個別企業の防衛事業における品質管理やコスト管理、納期管理を評価し、その企業努力を利益率に反映させる評価方法)とコスト変動調整率を踏まえた利益率算定方法へと制度を変更しました。これにより、品質・納期・供給安定性を織り込んだ利益の確保がしやすくなるとともに、原材料高や人件費上昇の影響も価格へ反映されやすくなります。

米国企業のように高水準で安定した収益性が確保されれば、従来は企業にとって低採算で、数ある事業セグメントのうちの1つという位置づけだったとも言える防衛事業が、企業の業績拡大をけん引する中核事業に変化する可能性があります。主要企業の防衛産業の営業利益率の推移をみると、15%程度に改善してきており、売上高も右肩上がりで推移する見通しです。

加えて、2026年4月に防衛装備移転三原則が改訂され、これまで日本の防衛企業による防衛装備品輸出の制約となっていた5類型が撤廃され、友好国、同志国への武器輸出が円滑に行われるようになると考えられます。野村證券では、2026年度以降も防衛費の拡大傾向が続き、防衛装備庁による調達額の増加に伴い、日本の主要防衛企業の売上高は拡大していくとみています。また、日本企業の防衛事業の収益性は、世界の主要企業と同程度か、もしくはそれを上回る高水準へと改善していくと予想しています。

主要企業の防衛産業の売上高と営業利益率の推移

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(注)三菱電機と日本電気は2021年度から。棒グラフは各社の防衛事業が含まれる売上高、折れ線グラフはそれらの営業利益率もしくは調整後営業利益率の平均値。2017年度から2020年度は三菱重工業、川崎重工業、IHIの売上高および平均営業利益率を示している。三菱重工業は航空・防衛・宇宙事業、川崎重工業は航空宇宙システム事業、IHIは航空・防衛・宇宙事業、三菱電機は防衛・宇宙システム事業、日本電気はANS(Aerospace and National Security)事業。2026年度以降は野村證券エクイティ・リサーチ部の予想(2026年6月9日時点)。
(出所)野村證券エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成

今回取り上げた、「AI・半導体」「金利上昇(銀行)」「防衛」のいずれのテーマも、業績の拡大が期待できるという点で共通しています。2026年後半以降も、株価は業績にかえってくるという基本観を大事に、銘柄やテーマの動向を探っていきたいですね。

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野村證券投資情報部 シニア・ストラテジスト
大坂 隼矢
2010年入社。3店舗での支店業務を経て、2015年3月より投資情報部。現在は月刊誌「Nomura21 Global」等、個人投資家向け株式資料の作成をはじめ投資情報の提供を行う。

※本記事は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としており、投資勧誘を目的として作成したものではございません。また、将来の投資成果を示唆または保証するものでもございません。銘柄の選択、投資の最終決定はご自身のご判断で行ってください。

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