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2026.05.27 NEW

S&P500予想、2026年末7,900に引き上げ 大型IPOへの期待と警戒が交錯 野村證券ストラテジストが解説

S&P500予想、2026年末7,900に引き上げ 大型IPOへの期待と警戒が交錯 野村證券ストラテジストが解説のイメージ

S&P500のトップダウンEPS見通しを上方修正、指数見通しも引き上げ

S&P500の2026年1-3月期決算がAI・半導体主導で上振れたことや、野村證券の米国マクロ見通しなどを踏まえ、トップダウンのEPS(1株当たり利益)見通しを上方修正します。トップダウンでみたS&P500のEPSは、2025年の269.3から、2026年は336.2、2027年は376.2、2028年は411.6へ引き上げます。

野村證券の予想通り、米国の実質GDP(国内総生産)成長率が2026年に2.3%、2027年に1.9%、CPI(消費者物価指数)上昇率が2026年に3.6%、2027年に2.3%となれば、FF(フェデラルファンド)金利が3.625%に据え置かれ、10年国債利回りが4%台半ばでも、「G>R(名目GDP成長率>名目金利)」の環境が長期化します。株式市場にとっては、基本的に追い風となりやすいとみられます。EPS拡大を背景とする株高、すなわち業績相場の局面に入っており、景気拡大が続く限り、業績拡大局面も続きやすいとみています。

S&P500の見通しも引き上げます。メインシナリオでは、2026年末を7,900(従来予想7,500)、2027年末を8,300(同7,900)、2028年末を8,700(同8,300)と予想します。米国株の期待リターンは配当込みで+6〜7%前後と引き続き試算しており、配当を除く株価指数ベースでは年5%前後の上昇が持続可能と考えています。S&P500の予想PER(株価収益率)は足元の20〜21倍前後から大きく切り上がりにくいと想定していますが、2027年のEPS(375前後)にPER21倍を適用すると、7,900前後が妥当な水準とみられます。

S&P500見通しとレンジ
2026年6月 2026年12月 2027年6月 2027年12月 2028年6月 2028年12月
メインシナリオ 7,500 7,900 8,100 8,300 8,500 8,700
上振れ 8,200 8,600 9,000 9,200 9,500 9,700
下振れ 6,600 7,000 7,100 7,200 7,200 7,400

(出所)野村證券市場戦略リサーチ部作成

メインシナリオでは、利下げ期待を支えにした株高の可能性は後退したものの、イラン情勢が遅かれ早かれ収束し、景気・業績の拡大やAI需要の拡大が続くと想定しています。ただし、目先は金利上昇懸念、新FRB(米連邦準備理事会)議長の就任時に相場が変動しやすいという経験則、大型IPO(新規株式公開)の増加に伴う高値警戒感などが意識される場面も想定しています。AI・半導体相場は息が長いとみていますが、大手テクノロジー企業の投資コスト負担や電力不足などへの懸念が台頭し、上昇一服の要因となる場面も時折生じうると考えています。

一方、レンジ上限につながりうる上振れシナリオでは、イラン情勢が早期に収束して景気・業績の拡大が続くことに加え、AI活用による生産性・収益性の改善がユーザー企業を含めて顕在化したり、先端技術分野などの設備投資が加速したりすることを想定しています。他方、レンジ下限につながりうる下振れシナリオでは、イラン情勢が長期化(3〜4四半期)して景気・業績が顕著に下振れることや、AI需要が失速することを想定しています。

投資戦略では、引き続き半導体・金融やクオリティ、等ウェイト指数を組み合わせるバーベル戦略を重視します。ゲーム企業などの半導体ユーザーや資源インフラ関連企業も、足元の環境では中長期の分散投資に適しています。金利上昇懸念を踏まえ、4月はREIT(不動産投資信託)を注目セクターから除外しました。さらに野村證券の利下げ予想撤回を踏まえ、利下げ期待が支えになりやすいとみられがちな中小型株(ラッセル2000)も、注目セクター・テーマから除外します。

大型IPOの影響を読む

2026年6月の米スペースXの大型IPOでは、調達額が約750億米ドル、市場評価が2兆米ドル前後に達するとも見込まれています。また、9月以降の米オープンAIのIPOに向けた申請も行われていると報じられているほか、米アンソロピックのIPOも取りざたされています。

こうした大型IPOが意識されやすくなると、VC(ベンチャーキャピタル)などの出資者が得た利益を元手に好循環が生じ、市場が活性化する面があります。一方で、需給悪化を警戒する投資家も増えやすくなります。1990年代末以降のITバブル期では、IPO金額のピークが2000年1-3月期だったように、IPO金額が膨らむ時期と株価の高値が重なるケースも過去にみられました。1996年1月以降の米IPO金額と12ヶ月先のS&P500騰落率には、一定の負の相関もみられます。

5月22日付のバロンズ「SpaceX IPO Is a Game You Should Play at Your Own Risk」でも、大型IPOの実績はまちまちで、時価総額150億米ドル以上で米国株市場に上場した36社のうち、初日にS&P500を上回るパフォーマンスとなったのは4分の1(9社)に過ぎないとして、慎重な見方が紹介されました。また、同社目論見書でAI事業の総市場規模が26.5兆米ドルとされた点などについて、過大評価との指摘もありました。

米国株市場でのIPO金額とS&P500

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(注)月次データ。IPOは実効日ベースで、募集金額を集計。直近は2026年5月22日時点。
(出所)Bloomberg、S&Pより野村證券市場戦略リサーチ部作成

2026年2月末以降の中東情勢の緊迫化で軍事・防衛予算の拡大が見込まれる中でも、2026年に入って世界的に防衛株が低迷している点は不可解です。4月24日付の米紙WSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)「War Buoys Arms Makers’ Sales, but Not Their Stocks」によれば、2025年末時点で軍事・防衛予算の拡大が防衛株に織り込まれていた可能性があります。加えて、トランプ政権が防衛企業への政府関与(出資や配当制限)などを示唆し、経営の自由度低下が懸念されやすい点や、上記の大型IPOによって同業・同グループとされる防衛株への投資が一時的に絞られるとの見方も背景にあるようです。

(編集:野村證券投資情報部)

編集元アナリストレポート

米国マクロメモ:金利上昇懸念を上回るAI・半導体期待、問題は持続性 – トップダウンのS&P500のEPS見通しと株価指数見通しを引き上げ(2026年5月26日配信)

(注)各種データや見通しは、編集元アナリストレポートの配信日時点に基づいています。画像はイメージ。

※本記事は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としており、投資勧誘を目的として作成したものではございません。また、将来の投資成果を示唆または保証するものでもございません。銘柄の選択、投資の最終決定はご自身のご判断で行ってください。

 
   
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