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2026.04.27 NEW

日銀「6月も利上げ見送り」観測が強まれば、円安長期化リスクが拡大 野村證券・後藤祐二朗

日銀「6月も利上げ見送り」観測が強まれば、円安長期化リスクが拡大 野村證券・後藤祐二朗のイメージ

撮影/タナカヨシトモ(人物)

金融市場では、日本銀行が2026年4月27〜28日に開く金融政策決定会合で、政策金利を据え置くとの見方に収斂しています。日銀は、中東情勢を当面見極めたい意向を示唆しています。4月会合後の焦点は、6月も利上げ見送りとなる可能性が高まるかどうかです。野村證券チーフ為替ストラテジストの後藤祐二朗は、6月利上げへの期待も低下するリスクシナリオでは、ビハインド・ザ・カーブ(政策が後手に回る)懸念やキャリー取引を通じて円安圧力が強まりやすいとみています。以下で詳しくみます。

日銀「6月も利上げ見送り」観測が強まれば、円安長期化リスクが拡大 野村證券・後藤祐二朗のイメージ

ビハインド・ザ・カーブ懸念の高まりは回避できるか

日銀の4月会合に向けて主要メディアの観測報道が相次ぎ、市場の見方は利上げ見送りへと大きく傾いています。ECB(欧州中央銀行)など海外中銀が顕著にタカ派化(金融引き締めに前向き)する可能性も低く、日銀が利上げを見送っても円安への影響は限られやすい面があります。ただ、日銀の発信次第では、米ドル円が再び1米ドル=160円を上抜け、当局の介入姿勢が試される可能性は否定できません。

4月の利上げ見送りで、日銀のビハインド・ザ・カーブ懸念が強まるかが焦点の一つです。市場が織り込む2年先と3ヶ月先の短期金利格差は、足元で75bp(ベーシスポイント)超まで拡大しており、3ヶ月先から2年先にかけて利上げ継続期待が高まっていることがうかがえます。高市早苗政権発足後の政治的な緩和長期化圧力への思惑もあり、日銀の利上げが遅れることで、追い込まれる形で先々の利上げペースが加速する、あるいは利上げ局面が長期化するとの観測が強まっているようです。

2年先と3ヶ月先の1ヶ月金利織り込み格差とドル円

日銀「6月も利上げ見送り」観測が強まれば、円安長期化リスクが拡大 野村證券・後藤祐二朗のイメージ

(出所)ブルームバーグより野村證券市場戦略リサーチ部作成

過去1年ほどの米ドル円は、先々の利上げペース加速期待と歩調を合わせて上昇しています。必ずしも因果関係を示すものではありませんが、ビハインド・ザ・カーブ懸念が円安圧力になってきたことを示す状況証拠とはいえます。

次回6月会合での利上げ期待が維持されれば、円安圧力は限られそうです。ただ、6月の利上げ期待も低下すれば、ビハインド・ザ・カーブ懸念から、米ドル円が160円の節目を超えて上昇するシナリオが警戒されます。

キャリー取引への影響も焦点に

4月の利上げが見送られ、6月の利上げも難しいとの見方が強まれば、キャリー取引の調達通貨として円安圧力が強まる可能性も否定できません。4月に入り米ドル高の勢いは一服していますが、相対的に強いのはブラジルレアルやノルウェークローネ、豪ドルといった資源国通貨や高金利通貨です。

2026年2月末以降の主要通貨の対ドル騰落率

日銀「6月も利上げ見送り」観測が強まれば、円安長期化リスクが拡大 野村證券・後藤祐二朗のイメージ

(注)2026年4月22日時点。
(出所)ブルームバーグより野村證券市場戦略リサーチ部作成

ホルムズ海峡の封鎖が続くなか、原油価格は相対的に高止まりしています。一方で、世界の株価は大きく反発しており、市場の関心がキャリー取引に回帰しつつある印象もあります。中東情勢悪化への耐性が強いとみられる国の通貨の多くは高金利通貨でもあり、ファンダメンタルズ(基礎的条件)の面でもキャリーへの関心は高まりやすいといえます。日銀が4月会合で利上げを見送り、6月の利上げも難しいとの見方が広がれば、キャリー目的での円安圧力が強まる可能性があります。

6月利上げ見送り期待が高まれば円安長期化リスクが拡大

仮にホルムズ海峡の航行正常化に向けた機運が高まり、原油価格が調整すれば、円の買い戻し圧力が一時的に強まる可能性が高いです。このシナリオでは、ECBなどが利上げを急ぐ必要性は低下するとみられますが、日銀は景気の下振れリスク低下を受けて利上げに踏み切りやすくなるでしょう。6月会合に向けて日銀の利上げ確度が高まれば、ユーロ円などクロス円でも調整色が強まる可能性が高いです。

一方、仮に中東情勢が改善しても日銀が利上げを見送る場合は、ビハインド・ザ・カーブ懸念とキャリー取引の影響から、円安圧力の長期化を想定する必要が出てきます。この場合は、本邦当局による円買い介入の可能性が焦点になります。

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野村證券 市場戦略リサーチ部 チーフ為替ストラテジスト
後藤 祐二朗
為替相場のリサーチ・ストラテジーを担当。8年半にわたるニューヨーク・ロンドン駐在時には海外ヘッジファンド向けを中心としたドル円ストラテジー、日米欧の資本フロー分析、日本及び欧州の金融政策及びマクロ分析を担う。2002年に野村総合研究所に入社、2004年に野村證券への転籍を経て、2011年以降は海外拠点にて外国人投資家向けの情報提供を中心に活動。2019年8月より現職。

※本記事は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としており、投資勧誘を目的として作成したものではございません。また、将来の投資成果を示唆または保証するものでもございません。銘柄の選択、投資の最終決定はご自身のご判断で行ってください。

 
   
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