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2026.04.15 NEW

4月14日は原油価格下落 今後の見通しを原油安定供給の観点から解説 野村證券・髙島雄貴

4月14日は原油価格下落 今後の見通しを原油安定供給の観点から解説 野村證券・髙島雄貴のイメージ

撮影/タナカヨシトモ(人物)

中東情勢の悪化に伴い、原油価格は乱高下する展開が続く中、2026年4月14日には米国とイランの和平合意に向けた交渉再開への期待から、急落する場面がありました。米国とイスラエルが2月28日にイランへの攻撃を開始する前の水準まで、原油価格が戻る可能性はあるのでしょうか。今後の原油価格の見通しや注目点について、野村證券経済調査部・市場戦略リサーチ部エコノミストの髙島雄貴が解説します。

4月14日は原油価格下落 今後の見通しを原油安定供給の観点から解説 野村證券・髙島雄貴のイメージ

米・イランの停戦協議、交渉再開期待で原油価格は急落

4月14日のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)期近物(5月限)先物価格は清算値ベースで前日比-7.9%の91.28米ドルと急落しました。その後、WTI期近先物価格は90米ドルを割り込む場面もありました(執筆時点、日本時間4月15日12時頃)。トランプ米大統領が「2日以内に交渉再開の可能性がある」と述べたと報じられ(14日付、米ニューヨーク・ポスト)、「2週間の停戦」は引き続き有効であると改めて示唆されたことや終戦への期待が再び高まったことが価格押し下げ材料となりました。4月14日に公表された月報4月号において、IEA(国際エネルギー機関)が、原油価格上昇を背景として、2026年の世界の石油需要見通しを3月時点の前年対比日量64万バレル増から日量8万バレル減へと下方修正したことも原油価格を押し下げたと見られます。

WTI期近物先物価格の推移

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(注)データは日次で、直近値は2026年4月14日。日付は現地時間。箱は前営業日の清算値から当営業日の清算値までの値動き、ヒゲは当営業日の最高値・最低値を示す。
(出所)ブルームバーグより野村證券経済調査部・市場戦略リサーチ部作成

2週間の停戦合意後も、イスラエルはレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラへの攻撃を継続しており、ワシントンで4月14日に開催されたイスラエルとレバノンの駐米大使らによる協議が注目されていました。協議の詳細は明らかにされなかったものの、終了後に双方は「ヒズボラへの対応に関して建設的な協議が行われた」と発言しました(14日付、ロイター)。イスラエルとレバノンの交渉の行方が、米国とイランの交渉に影響を与える可能性にも注意が必要でしょう。

OPEC+の増産方針維持は原油市場の安心材料に

また、今回のイラン情勢悪化以来、初めてOPEC+の有志8ヶ国(サウジアラビア、ロシア、イラク、アラブ首長国連邦、クウェート、カザフスタン、アルジェリア、オマーン)は、4月5日に月例のオンライン会合を開催しました。5月も4月と同様に、日量20.6万バレルの生産枠増加が決定されました。

依然としてホルムズ海峡の航行の安全性は完全には回復しておらず、また湾岸諸国のエネルギー施設がイランによる攻撃によって損傷していることを踏まえると、今回の増産決定は象徴的な意味合いが強いと捉えるべきでしょう。ただ、OPEC+が原油市場の安定化を目指す方針を掲げたことは、今後の原油先物価格の押し下げ材料と言えます。

2026年内のWTI原油先物の見通しは

2月のWTI期近物先物価格は65米ドル程度で推移していましたが、お互いの攻撃によってエネルギー施設が損傷していることを踏まえると、イラン情勢悪化を受けた2026年内のWTI期近物先物価格は75米ドルが下限の目安となりやすいと、原油先物カーブからは示唆されます。2026年内のWTI期近物先物価格は、75~95米ドルのレンジで推移しやすいと見込まれます。

目先では米国とイランの交渉の行方が最大の注目点となりますが、今後の原油価格見通しにおいては、①ホルムズ海峡の通航量回復が実現していくか、②エネルギー施設の損傷度合いと復旧ペースがどうなるか、③施設損傷による減産をOPEC+諸国もしくは米国の増産でカバーできるか、の3点が重要なポイントとなるでしょう。

ホルムズ海峡を通航する船舶数は緩やかながら、増加し始めています。4月4日には、イランはイラクの船舶について、ホルムズ海峡通航時のいかなる制限からも免除されると発表されました。イラクは2月までは日量300万バレルの輸出量を有しており、ホルムズ海峡を利用した輸出量はサウジアラビアに次いで2番目に多い国です。ただし、今度は米国がホルムズ海峡の封鎖を開始しましたので、イラクからの石油輸出が回復していくかどうかは不確実性が高くなりました。

ホルムズ海峡を航行した原油タンカーの数

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(注)直近値は4月14日。データは遡及して改定される可能性がある。
(出所)ブルームバーグより野村證券経済調査部・市場戦略リサーチ部作成

原油の供給については、仮に米国のシェールオイルが増産となる場合であっても、掘削から供給開始までは少なくとも半年程度の期間を要すると想定されます。そのため、2026年内は、原油価格が高止まりしやすいと見込まれます。

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野村證券 経済調査部・市場戦略リサーチ部 エコノミスト
髙島 雄貴
2018年野村證券入社。2023年6月まで日本経済担当エコノミスト。コモディティー調査を担当。原油をはじめとして、天然ガス、金、非鉄金属、穀物など、幅広い商品の市況を分析し、先行きの見方を提供。日本証券アナリスト協会認定アナリスト。現在、日経ヴェリタスの「コモディティー・インサイト」に定期寄稿中。

※本記事は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としており、投資勧誘を目的として作成したものではございません。また、将来の投資成果を示唆または保証するものでもございません。銘柄の選択、投資の最終決定はご自身のご判断で行ってください。

 
   
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