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2026.04.21 NEW

国内株式決算の注目点 期初会社計画で増益・減益となりやすいセクター 野村證券ストラテジストが解説

国内株式決算の注目点 期初会社計画で増益・減益となりやすいセクター 野村證券ストラテジストが解説のイメージ

2026年度のTOPIX(東証株価指数)のEPS(1株当たり利益)は前年度比11.6%増益を見込んでいますが、会社計画(ガイダンス)は同2~3%の経常増益で始まると想定しています。以下では、(1)日銀短観とインプライド・リビジョン・インデックス、(2)エネルギー投入状況、(3)2月決算、(4)過去の履歴を踏まえ、トップダウンの観点から決算発表前の注目点を整理します。

3月短観からの示唆

2026年3月の日銀短観では、企業マインドや計画は底堅い一方、一定の慎重さもみられました。回収基準日が3月12日のため、中東情勢の影響は十分に反映されていない点にも注意が必要です。

この点は、短観の2026年度業績計画にも当てはまります。今回示された大企業の2026年度期初計画は、前年度比1.5%増収、同1.8%の経常減益で、一定の目安になります。2026年度の為替前提は、米ドル円が1米ドル=148円台、ユーロ円が1ユーロ=170円台です。輸出企業では、現状の為替レートが続けば上方修正が期待されやすい一方、原油価格が高止まりすれば利益の下押しも意識されやすくなります。短観の期初時点の業績計画と上場企業の期初計画の関係を踏まえると、5月に判明する上場企業の2026年度会社計画の経常増益率は、前年度比2~3%前後と試算できます。

日銀短観大企業の期初計画経常増益率と上場企業の期初計画経常増益率

国内株式決算の注目点 期初会社計画で増益・減益となりやすいセクター 野村證券ストラテジストが解説のイメージ

(注)上場企業はTOPIX構成企業(2・3月期本決算)が対象で、会社予想がない場合は東洋経済予想で補完。
(出所)日本銀行、QUICK、東洋経済新報社より野村證券市場戦略リサーチ部作成

セクターレベルでは、4月2日公表の短観全容調査を踏まえると、上場企業の2026年度会社計画の経常利益が期初から増益となりやすいのは、ガラス・土石、紙・パルプ、建設、小売、不動産です。一方、減益となりやすいのは、金属製品、繊維、電気機器、卸売と考えられます。もっとも、足元のマクロ環境を踏まえると、ガラス・土石、紙・パルプ、建設は、原油高の悪影響を受けやすい可能性に留意が必要です。

足元では早くもリビジョン改善期待が台頭

日本株の業績予想の方向感を示す「リビジョン・インデックス」は小幅ながらプラス圏を維持しています。一方、TOPIXの過去5週の騰落率から逆算したインプライド・リビジョン・インデックスは、3月最終週以降、2025年春以来のマイナスに転じました。下振れはある程度織り込まれたと言えます。

ただ、その後の株高を反映し、足元のインプライド・リビジョン・インデックスは再びプラス圏に戻っています。停戦期待を踏まえても、やや楽観的との印象を受けます。

リビジョン・インデックスとTOPIXの過去5週騰落率からのインプライド・リビジョン・インデックス

国内株式決算の注目点 期初会社計画で増益・減益となりやすいセクター 野村證券ストラテジストが解説のイメージ

(注)リビジョン・インデックスの対象はTOPIX500構成企業。今来期経常利益予想に関して、(上方修正社数-下方修正社数)÷修正総数より算出。QUICKコンセンサスを用い東洋経済予想で補完。TOPIXの過去5週騰落率からのインプライド・リビジョン・インデックスは、2018年1月第1週以降データより作成。この期間のTOPIXの過去5週騰落率を説明変数、TOPIX500リビジョン・インデックスを被説明変数とした回帰式から得られる推計値を用いた。
(出所)JPX総研、QUICK、東洋経済新報社より野村證券市場戦略リサーチ部作成

売上高に対する原油・石油・石炭・ガス投入比率

産業連関表をもとに、各セクターの売上高に対する原油・石油・石炭・ガスの投入比率を整理しました。直接的な影響が大きいのは、エネルギー・資源、電力・ガス、化学・素材です。

もちろん、その先の二次的な波及にも警戒は必要です。ただ、一般論としては、一時的な波及効果を上回って二次的、三次的な波及が大きくなることは、行列計算上は起きにくいでしょう。なお、ヘリウムや尿素などでは、個別物資に関する供給懸念が出ています。個社やサブセクターレベルでは、警戒が必要なケースもあるでしょう。

2月決算企業に見る期初計画の傾向と株価反応

4月17日までに、2・3月本決算企業210社が2025年度決算を公表しました。集計すると、2025年度は前年度比2.7%増収、同4.3%の経常増益となり、全体の61%が経常増益でした。2026年度の会社予想は、同6.0%増収、同6.3%の経常増益計画となりました。

社数ベースでは、全体の73%が会社予想(期初計画)で2026年度の経常増益を見込んでいますが、増益率は1桁台前半の予想が多くなっています。また、31%の企業が会社予想(期初計画)で2026年度の増配を見込んでいます。株価反応を見ると、2026年度の減益予想企業ではアンダーパフォームが相応に強く、自社株買いや増配を発表した企業は相対的に底堅いことが確認できます。

過去の履歴

2010年度以降、期初ガイダンスで経常増益計画を示しやすい企業をスクリーニングすると、電子材料、情報サービス、住設機器などの企業が多くみられました。もっとも、住設機器は、イラン情勢を受けた資材価格の高騰や供給途絶の影響を考慮すると、従来に比べて保守的な期初計画となる可能性に警戒が必要でしょう。一方、期初計画で経常減益を示しやすい傾向が過去にみられたのは、建設、放送局、地銀などです。

決算発表のタイミングで自社株買いを実施しやすい企業をスクリーニングすると、金融セクターのほか、電機・精密、建設、食品などの企業が多くみられました。過去のパターンでは、5月にかけて自社株買いやTOB(株式公開買い付け)が増える傾向があり、これは本決算に合わせた企業の修正とみなせます。

中期経営計画の発表も5月前後に多くなります。中計の発表が必ずしも株高につながるわけではありませんが、2026年に入ってからは、中計発表前後の対TOPIX相対リターン(イベントリターン)に底打ち感もみられます。特に、コーポレートガバナンスコード(企業統治指針)改訂を控え、現預金や不動産などの有効活用に関するアップデートが注目されやすいでしょう。

(編集:野村證券投資情報部)

編集元アナリストレポート

日本株メモ:ストラテジーからの決算前の注目点 – 26年度会社ガイダンスは2-3%経常増益が目安に(2026年4月20日配信)

(注)各種データや見通しは、編集元アナリストレポートの配信日時点に基づいています。画像はイメージ。

※本記事は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としており、投資勧誘を目的として作成したものではございません。また、将来の投資成果を示唆または保証するものでもございません。銘柄の選択、投資の最終決定はご自身のご判断で行ってください。

 
   
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