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2026.06.23 NEW

第2のキオクシアを探すには? アナリストの大胆な強気予想に注目 野村證券・西岡伸

第2のキオクシアを探すには? アナリストの大胆な強気予想に注目 野村證券・西岡伸のイメージ

写真/タナカヨシトモ(人物)

半導体メモリー大手のキオクシアホールディングス(285A、以下キオクシア)の株価が急伸しています。証券会社各社のアナリストが予想するキオクシアの目標株価は上方修正が相次いでいますが、このような銘柄を見つける手がかりはあるのでしょうか。野村證券市場戦略リサーチ部クオンツ・アナリストの西岡伸が、クオンツ・リサーチの手法で分析します。

第2のキオクシアを探すには? アナリストの大胆な強気予想に注目 野村證券・西岡伸のイメージ

アナリスト予想が株価ドライバーとなる条件は

AIブームを背景とした半導体メモリーの需要の高まりにより、株価が急上昇したキオクシアは時価総額が一時60兆円を突破し、注目を集めました。定量的な分析によって投資戦略を考える「クオンツ」の視点から、「第2のキオクシア」のような銘柄を探すヒントはあるのでしょうか。

証券会社のアナリストが出す業績予想や目標株価が、手掛かりになるかもしれません。キオクシアの場合、2026年に入り、証券会社各社のアナリストによる目標株価の引き上げ合戦が行われる中で、株価が急上昇しました。もともとアナリスト間の業績予想にばらつきがありましたが、強気な予想を出す大胆なアナリストが現れたことで他のアナリストも追随し、目標株価の引き上げが相次ぐ展開となりました。

キオクシアに限らず、業績予想にばらつきがあり、アナリストの見方が分かれている銘柄を評価する際のポイントは、その中で強気な業績予想や目標株価を示す大胆なアナリストが出現したタイミングではないかと考えています。クオンツの専門用語では、この業績予想のばらつきを「ディスパージョン」と呼びます。今回はディスパージョンに加え、強気な予想を出す大胆なアナリストがいるかどうかを定量化した「スキュー」という指標も用いて、パフォーマンスを分析します。

下の図表はTOPIX500を母集団として、ディスパージョンとスキューの程度をそれぞれ3つに分類し、パフォーマンスを見ました。スキューの値が正に大きいほど、強気に大胆なアナリストが存在することを意味します。分析期間は2012年7月~2026年5月です。赤い棒グラフで示した業績予想のばらつきが大きい高ディスパージョン、かつ大胆な予想をするアナリストがいる高スキューの銘柄のパフォーマンスは、年率+4.3%となり、突出して高いことが分かりました。

アナリスト予想のディスパージョンとスキュー別に見たパフォーマンス

第2のキオクシアを探すには? アナリストの大胆な強気予想に注目 野村證券・西岡伸のイメージ

(注)母集団はTOPIX500。月次リバランス。分析期間は2012年7月から2026年5月。
(出所)IFISより野村證券市場戦略リサーチ部作成

業績予想のばらつきに関わらず、単に強気な予想を出すアナリストがいる銘柄のパフォーマンスが優れているわけではないのですね。

そうですね。ディスパージョンとスキューの片方のみが高くても株価のドライバーになりにくいですが、両方ともが揃って高いという条件を満たす場合には株価が押し上げられやすいと言えます。下の図表は高ディスパージョン・高スキュー銘柄について、比較対象として単純なリビジョンファクター(上方修正幅が大きい銘柄)と並べてパフォーマンスの推移を見ました。上方修正幅が大きい銘柄と比べても長期で安定して有効性が高いことが伺えます。

ディスパージョンとスキューが大きい銘柄のパフォーマンス

第2のキオクシアを探すには? アナリストの大胆な強気予想に注目 野村證券・西岡伸のイメージ

(注)母集団はTOPIX500。月次リバランス。
(出所)IFISより野村證券市場戦略リサーチ部作成

株高効果のけん引役は、最強気なアナリストの上方修正か

ディスパージョンとスキューがともに大きい銘柄群の中で、さらにパフォーマンスの差を分ける要因はあるでしょうか。

最強気なアナリストの直近の修正方向に左右される可能性があると考えています。下の図表は高ディスパージョン・高スキュー銘柄を、さらに最強気なアナリストが上方修正、据え置き、下方修正のいずれを行ったかで3つのパターンに分けて、パフォーマンスを分析しています。

最強気なアナリストの直近の修正方向で区別

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(注)母集団はTOPIX500。月次リバランス。ディスパージョンとスキューのそれぞれで3分位し、最大分位同士のグループを対象としました。最強気リビジョンは、最強気なアナリストが入れ替わった場合には同一アナリストの比較にはなっていない点に注意してください。
(出所)IFISより野村證券市場戦略リサーチ部作成

株高効果のけん引役は最強気なアナリストが上方修正していた銘柄(図表a-1)であり、反対に下方修正していた銘柄(図表a-3)はアンダーパフォームしやすいことが分かります。この背景として、大胆な予想を行えるアナリストは、市場で有能だと認識されている「トップアナリスト」である場合が多い可能性があります。彼らがいち早く強気に上方修正した場合には、他のアナリストや市場参加者の見方も追随して同じ方向に傾いていき、かつ、実際に彼らの見方が当たっていることで、株価上昇につながるのかもしれません。参考として、高ディスパージョン・高スキュー銘柄のうち、最強気なアナリストが上方修正を行った銘柄を以下の表にまとめました。

高ディスパージョン・高スキュー銘柄リスト
コード 銘柄名 東証17業種 カバー人数 野村予想が
コンセンサス
より高い
過去3カ月リターン
(%)
6728 アルバック 電機・精密 多い   -9.3
4502 武田薬品工業 医薬品 少ない -10.5
8591 オリックス 金融(除く銀行) 多い   14
6902 デンソー 自動車・輸送機 多い   -13.7
5801 古河電気工業 鉄鋼・非鉄 多い 86.6
2331 ALSOK 情報通信・サービスその他 少ない   -11.1
8282 ケーズホールディングス 小売 少ない   23.9
8058 三菱商事 商社・卸売 多い -3.3
6481 THK 機械 多い 35.5
4151 協和キリン 医薬品 多い   -13.2
6526 ソシオネクスト 電機・精密 少ない   32
8697 日本取引所グループ 金融(除く銀行) 少ない   -6.8
4042 東ソー 素材・化学 少ない 2.9
6503 三菱電機 電機・精密 少ない   10.1
8750 第一ライフグループ 金融(除く銀行) 少ない   3.7
1959 クラフティア 建設・資材 少ない   -10.5

(注)母集団はTOPIX500。2026年6月初時点。最強気リビジョンのうち、上方修正のみを掲載。
(出所)IFISより野村證券市場戦略リサーチ部作成

不透明な市場環境では、アナリストによる業績予想のばらつきが大きくなりやすいですが、その後の市場心理の改善とともに高ディスパージョン銘柄が買われやすくなります。ただし、その効果は約1年で薄れやすく、2025年のトランプ関税ショック後、高ディスパージョン銘柄の株価は上昇していたため、足元では賞味期限切れとなる可能性があります。そのため、ディスパージョンという指標単体では見通しにくい状況にあるため、大胆なアナリストがいるかどうかという視点と組み合わせることで、第2のキオクシアのような銘柄を見つける際の参考になるかもしれません。

第2のキオクシアを探すには? アナリストの大胆な強気予想に注目 野村證券・西岡伸のイメージ
野村證券 市場戦略リサーチ部 クオンツ・アナリスト
西岡 伸
2018年野村證券入社。市場戦略リサーチ部マクロ・ストラテジー・グループに所属し、クオンツ分析の手法を用いた日本株調査を担当している。

※本記事は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としており、投資勧誘を目的として作成したものではございません。また、将来の投資成果を示唆または保証するものでもございません。銘柄の選択、投資の最終決定はご自身のご判断で行ってください。

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