2026.07.31 NEW
GAFAM決算解説 ハイパースケーラーのフリーキャッシュフローの動向が焦点に 野村證券・村山誠
写真/タナカヨシトモ(人物)
米国株市場の動向を大きく左右するGAFAMと呼ばれる企業群(アルファベット、アップル、メタ・プラットフォームズ、アマゾン・ドットコム、マイクロソフト)の2026年4-6月期決算が7月30日までに出そろいました。その内容と米国株式市場への影響について、野村證券投資情報部シニア・ストラテジストの村山誠が解説します。
GAFAM5社の決算発表のポイントは
- GAFAMと呼ばれる企業群の2026年4-6月期決算が7月30日までに出そろいました。その内容はどうだったのでしょうか。
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2026年4-6月期の決算実績は、各社とも売上高は事前のアナリスト予想平均を上回り、一株当たり利益についても、メタ・プラットフォームズを除いて実績は市場予想平均を上回りました。
(注)EPSは希薄化後及び調整後。
(出所)会社発表、ファクトセットより野村證券投資情報部作成
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各社ともそれぞれの本業は堅調に推移していることは確認できた一方で、株価反応はまちまちでした。
GAFAMと呼ばれる5社の中で、先頭バッターで7月22日に決算を発表したアルファベットは、後述するフリーキャッシュフローがマイナスに転じたことと設備投資のさらなる増額が不安を呼び、翌23日には株価が下落しました。
7月29日に決算発表したメタ・プラットフォームズは、翌30日に株価は上昇しましたが、決算発表直後の時間外取引では下落しました。会社が今後の設備投資の予想レンジの下限を引き上げたことが、事実上の増額と受け止められ、ネガティブに反応したとみられます。一方、同日に決算を発表したマイクロソフトは設備投資額を据え置いたことがマーケットに好感され、翌30日に株価は上昇しました。
7月30日には、アマゾン・ドットコムとアップルが決算を発表しました。アマゾンの株価は決算発表を受けて、時間外取引で上昇しました(ニューヨーク時間17:10時点)。2026年7-9月期については、売上高、営業利益ともに、会社見通しレンジの中間値は市場予想平均を下回ったものの、Prime Day(アマゾンの特売イベント)の開催時期(2025年は7月8~11日、2026年は6月23~26日)の影響が大きいとみられることから、市場参加者からはネガティブには捉えられていないと推察されます。
一方、アップルの株価は決算発表後の時間外取引で下落しました(ニューヨーク時間17:58時点)。2026年7-9月期の増収率について、会社見通しのレンジが市場予想平均を下回ったことに、ネガティブに反応していると推察されます。
ハイパースケーラーのフリーキャッシュフローがマイナスに転じた意味
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今回の四半期決算では、いくつかの企業において、フリーキャッシュフローの動向が目を引きました。
アルファベットとアマゾン・ドットコムのフリーキャッシュフローがマイナスに転じ、メタ・プラットフォームズはプラスを維持したものの、前年同期と比べ大幅に減少しました。
- フリーキャッシュフローがマイナスに転じたとはどういうことでしょうか。
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フリーキャッシュフローとは、現金ベースでの営業収支、つまり本業からの現金でのもうけを示す「営業活動からのキャッシュフロー」から、設備投資などの資金支出を控除して算出される、企業を分析する上で重要な財務指標です。
これがプラスということは、本業のもうけで設備投資資金を賄っている状態にあることを示します。一方、これがマイナスである場合は、本業のもうけが減少しているか、設備投資負担が拡大していることを示します。
先ほども申し上げました通り、2026年4-6月期では、GAFAM企業の本業は堅調なことから、営業活動からのキャッシュフローについては、各社とも概ね、これまでどおり潤沢な状態にあります。それでもフリーキャッシュフローがマイナスになった企業が出てきたということは、設備投資の金額が大きくなったからで、AI関連の先行投資負担が重くなっていることを示しています。
フリーキャッシュフローは、GAFAM企業についても重要な財務指標の一つです。これまで各社は高い収益力を背景に、先行投資を行っても潤沢なフリーキャッシュフローを確保してきました。そのため、フリーキャッシュフローの動向が決算時の株価変動要因として注目されることは、あまりありませんでした。しかし今回は、AI関連の設備投資負担の拡大によって、その前提が揺らいだことが注目を集めたと考えられます。
- 決算発表を受けた市場の反応をどうみますか。
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2026年に入ってからの情報技術関連銘柄の株価の動向をみると、AIデータセンター向けに半導体や電源装置、光ファイバー等の設備や部品を提供する企業群の株価は、2026年前半に大きく上昇しました。一方、AIデータセンター投資を行う大手情報技術企業群の株価は、上値が重く推移してきました。
データセンター向けに設備や部品を提供する企業群は、大手情報技術企業による巨額なAIデータセンター投資の恩恵を受けるとみなされた一方、投資を行う側の大手情報技術企業については、巨額な設備投資の回収可能性について懸念を持つ市場参加者が相応にいたためとみられます。
2026年6月以降は、設備や部品を供給する企業群と、AIデータセンター投資を行う大手情報技術企業群との間での銘柄選好が交互に入れ替わり、株価は大きく崩れはしない一方、上値が重い状態となっていました。市場では、大手情報技術企業によるAIデータセンター投資について、将来の資金回収の見通しを示す業績や収益性に関する情報が、2026年4-6月期決算で示されるかに注目が集まっていたと推察します。
決算発表後のGAFAM企業の株価をみると下落した企業もあり、マイクロソフトのように上昇した事例もありますが、年初来の株価の動きでみてみると、大きくは動いていません。
AIデータセンターへの投資について、その資金回収の道筋が見えたという状態には至っておらず、この点については、次回の四半期決算以降に持ち越された状態かと思います。今回決算を発表したアップルを除くハイパースケーラー4社のうち、3社が設備投資金額を増額しました。AI関連の過剰投資懸念が和らぐには、データセンター投資が一巡し、AI関連の売上高の伸びを確認する必要があるとみています。
市場の注目点はAI・半導体関連銘柄の決算発表
- 今後の注目点としては何が挙げられますか。
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目先のイベントとしては、8月4日に発表される宇宙関連事業およびAI開発を手掛けるスペースXの2026年4-6月期決算発表が注目されます。今回の決算発表は、同社上場後初となる決算発表で、同社の足元の業績動向や今後の業績見通しに加え、AIモデルの開発動向や、設備投資の見通しなどが注目されます。
なお、米国主要企業の2026年4-6月期決算の発表はそろそろピークを越えますが、この後、5-7月期を決算期とする企業群が決算発表を行います。情報技術関連企業では、8月13日に半導体製造装置大手のアプライド・マテリアルズが、同期の決算発表を予定しています。同社の決算では、半導体製造装置市場の動向に関する経営陣のコメントなどを通し、半導体業界に関する示唆を確認したいと考えます。また8月26日には、エヌビディアが2026年5-7月期決算発表を予定しています。時価総額で世界最大の半導体企業であり、同社の業績動向に加え、AI半導体の市場動向についての会社側の情報発信が注目されます。
- 野村證券 投資情報部 シニア・ストラテジスト
村山 誠 - 1990年野村総合研究所入社、1998年に野村證券転籍。エクイティアナリスト、クレジットアナリストとして勤務。2011年6月より米国株ストラテジー担当。投資環境の分析、個別株の投資アイデアを提供。テレビ東京「Newsモーニングサテライト」出演中。
※記事の中で個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。この記事は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としており、投資勧誘を目的として作成したものではございません。また、将来の投資成果を保証するものでもございません。銘柄の選択、投資の最終決定はご自身のご判断で行ってください。
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