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2026.08.24 NEW

金利上昇が追い風になる企業は? 経常利益へのプラス影響が見込まれる銘柄に注目 野村證券ストラテジストが解説

金利上昇が追い風になる企業は? 経常利益へのプラス影響が見込まれる銘柄に注目 野村證券ストラテジストが解説のイメージ

日本株反落で意識された需給悪化への懸念

2026年8月18~19日に日本株の主要指数が大きく反落したのは、AI・半導体株と銀行株の下落が影響しました。日経平均先物の動きを説明する変数としては、原油や金利よりも米国・韓国株先物の影響度が高くなっています。7月の指数急落時には個人投資家の押し目買いが相場を支えましたが、8月中旬以降は国内株投信への資金流入が鈍化しています。

8月18~19日の需給関連ファクターリターンでは、外国人保有比率や信用倍率が高い銘柄のアンダーパフォームも目立ち、需給悪化への懸念が意識されたとみられます。ただし、8月18日までのEPFRファンドフロー統計では、ファンドを通じた日本株への資金流入が続いています。また、信用買い残は6月26日時点の7兆円から8月14日時点には6.2兆円に減少しました。時価総額に対する信用買い残の比率も、8月14日時点で0.45%と比較的低い水準にあります。

需給系ファクターリターンの推移

金利上昇が追い風になる企業は? 経常利益へのプラス影響が見込まれる銘柄に注目 野村證券ストラテジストが解説のイメージ

(注)対象はTOPIX500。信用倍率は下位20%銘柄-上位20%銘柄のリターンスプレッド。
(出所)JPX総研、QUICKより野村證券市場戦略リサーチ部作成

7月末のアクティブ投信のポートフォリオでは、メガバンクの組み入れ比率が上昇した一方、AI・半導体、電線、MLCC(積層セラミックコンデンサー)、メモリー株の比率は低下しました。主要ファンドのTOPIX(東証株価指数)ベータは高水準にあるものの、8月6日以降は低下しており、決算発表を境にリスクを抑える動きがみられました。

金利上昇への懸念が根強いなか、自己資本比率が低い企業や有利子負債金利が高い企業がアンダーパフォームする傾向はみられません。一方、ネットキャッシュ比率が有効に機能する場面は増えつつあります。利上げ時や長期金利の上昇時にネットキャッシュ比率ファクターが有効となる傾向は、これまでもみられました。日本の上場企業の過半がネットキャッシュであることから、金利上昇が日本企業の収益などに悪影響を及ぼすリスクは、これまでのところ限定的です。マクロの観点では、10年国債利回りが3%に近づくか上回ると、「G(名目成長率)>R(名目長期金利)」の関係が崩れるとの懸念が生じやすくなる可能性があります。しかし、4-6月期決算で2桁増収となったことを踏まえると、民間企業や株式投資家が意識する名目成長率は、マクロの名目GDP(国内総生産)成長率(直近は前年同期比3.2%増)を上回っているといえます。

支払・受取金利の変化が経常利益の追い風となる銘柄に注目

4-6月期までの四半期決算で確認できる企業の支払利息・割引料の負担は増加傾向にあります。ただ、有利子負債に対する金利コストは1.7%前後で、上昇ペースは年40bp(ベーシスポイント)です。ほかの条件を一定とした場合、1年間の経常利益(全産業、金融除く)を1.5~2%程度押し下げますが、値上げに加え、受取利息・割引料・配当金の増加によって金利負担の増加は吸収できると考えられます。今後数年間も、年40bp前後の金利負担の増加を想定するのが妥当です。

上場企業の支払金利、法人企業統計大企業の借入金利子率と市中金利

金利上昇が追い風になる企業は? 経常利益へのプラス影響が見込まれる銘柄に注目 野村證券ストラテジストが解説のイメージ

(注)上場企業(除く金融)のうち2015年度Q1以降の四半期の支払利息・割引料、受取利息・割引料・配当金が取得可能な1442社が対象。四半期決算では開示されない企業も多く、全体の4割程度の企業に留まる。
(出所)QUICK、財務省、Bloombergより野村證券市場戦略リサーチ部作成

過去1年と同様のペースで支払・受取金利が変化した場合、利益への影響がマイナスと試算される企業には、不動産準大手のほか、パルプ・紙、自動車、電鉄、電力の大手企業が含まれます。一方、利益への影響がプラスと試算される企業には、ソフトウェア、セラミックス、電気機器、商社、空運、海運の大手企業が含まれます。

過去12ヶ月と同様の支払・受取金利の変化が継続した場合の経常利益へのインパクトがプラスの企業
コード 銘柄 有利子負債 支払金利
(支払利息
÷有利子負債)
現預金等 受取金利
(受け取り利息
・配当金÷現預金
・有価証券
・その他投資)
過去12ヶ月なみの支払・受取金利の変化が継続した場合の経常利益へのインパクト
(10億円) 24ヶ月前-12ヶ月前 直近12ヶ月 24ヶ月前-12ヶ月前→直近12ヶ月 (10億円) 24ヶ月前-12ヶ月前 直近12ヶ月 24ヶ月前-12ヶ月前→直近12ヶ月 %(対過去12ヶ月経常利益)
1377 サカタのタネ 5.6 5.7 6.4 0.7 58.3 2.1 2.5 0.3 1.1
1833 奥村組 65.6 1.9 1.8 0.0 123.5 1.3 1.6 0.3 1.3
1941 中電工 0.0 187.7 0.8 0.9 0.2 1.2
3923 ラクス 0.3 0.0 36.7 0.1 0.8 0.7 1.4
4045 東亞合成 20.6 1.5 2.1 0.6 74.0 1.7 2.1 0.5 1.3
4521 科研製薬 3.9 0.9 1.3 0.4 91.1 0.7 1.0 0.3 2.0
4686 ジャストシステム 0.0 121.7 0.2 0.5 0.3 1.4
4733 オービックビジネスコンサルタント 0.0 198.7 0.7 0.9 0.2 1.9
4812 電通総研 0.0 17.4 2.3 3.9 1.7 1.2
4922 コーセーホールディングス 10.8 0.3 0.4 0.1 136.6 0.7 0.9 0.3 1.7
4967 小林製薬 0.7 2.4 3.5 1.1 98.2 0.8 1.1 0.3 2.2
5333 NGK 231.4 1.5 1.3 -0.1 440.6 1.2 1.3 0.2 1.0
5423 東京製鐵 0.0 94.8 0.9 1.5 0.6 36.9
5451 ヨドコウ 13.8 20.5 0.0 108.5 1.8 2.0 0.2 1.0
5991 ニッパツ 59.5 0.6 0.7 0.1 255.9 2.5 2.8 0.3 1.0
6501 日立製作所 1056.9 2.5 2.4 -0.1 3476.9 1.0 3.0 2.0 5.4
6728 アルバック 48.7 1.3 1.4 0.1 142.6 0.8 1.0 0.2 1.1
6804 ホシデン 10.2 0.3 0.4 0.0 71.1 1.4 2.0 0.6 1.4
6861 キーエンス 0.0 3080.1 0.4 0.7 0.3 1.2
6996 ニチコン 23.5 0.7 1.2 0.5 65.9 1.5 2.0 0.4 1.5
7004 カナデビア 137.6 1.0 2.1 1.1 174.8 0.6 2.2 1.6 7.8
7164 全国保証 30.0 2.8 2.7 -0.1 476.3 1.0 1.2 0.2 2.1
7211 三菱自動車工業 413.6 1.8 1.8 0.0 518.4 1.6 1.9 0.3 2.1
7564 ワークマン 1.4 2.4 2.6 0.1 92.0 0.6 1.1 0.5 1.3
7740 タムロン 1.2 4.1 5.1 1.0 48.9 0.7 1.3 0.5 1.7
8053 住友商事 4944.1 2.5 2.4 -0.1 5623.1 1.7 1.8 0.1 1.4
8129 東邦ホールディングス 5.9 0.2 0.5 0.3 180.5 0.6 0.7 0.1 1.4
8130 サンゲツ 14.3 1.7 1.8 0.1 54.9 0.6 1.1 0.5 1.2
8227 しまむら 0.0 293.5 0.2 0.6 0.3 1.5
9025 鴻池運輸 58.2 0.7 1.0 0.3 101.8 0.7 1.1 0.4 1.0
9107 川崎汽船 230.6 2.8 3.0 0.1 1532.1 0.6 0.7 0.2 2.1
9202 ANAホールディングス 1193.2 1.7 1.6 -0.1 1601.8 0.4 0.7 0.3 2.3

(注)対象は時価総額1,500億円以上の企業で直近四半期決算において支払金利・割引料、受取金利・割引料・配当金が取得可能な企業(有利子負債がゼロの会社は支払金利・割引料が取得できない場合も対象に含めた)。このうち、現預金・有価証券・その他投資残高が有利子負債残高を上回り、かつ、過去12ヶ月なみの受取金利の上昇が継続した場合の経常利益へのインパクトが+1%以上の企業をスクリーニング。具体的には、支払金利・割引料利回り、受取金利・割引料・配当金利回りが過去12ヶ月並みに変化すると仮定して、直近の有利子負債残高と現預金・有価証券・その他投資残高をもとに利益への影響を機械的に試算した。今来期業績予想はQUICKコンセンサス(東洋経済予想で補完)。2026年8月19日時点。東京製鉄は過去12ヶ月の経常利益が小さいため、比率が大きく出ている。
(出所)QUICK、東洋経済新報社より野村證券市場戦略リサーチ部作成

(編集:野村證券投資情報部)

編集元アナリストレポート

Japan Macro Report – 節目を迎える日米マクロ政策と市場シナリオ(2026年8月21日配信) 日本株ウィークリー(2026年8月20日) – 金利上昇でもメガバンク株足踏み&地銀株高値のパターン(2026年8月20日配信)

(注)各種データや見通しは、編集元アナリストレポートの配信日時点に基づいています。画像はイメージ。

※本記事は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としており、投資勧誘を目的として作成したものではございません。また、将来の投資成果を示唆または保証するものでもございません。銘柄の選択、投資の最終決定はご自身のご判断で行ってください。

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