2026.07.13 NEW
2026年下期の初動に投資テーマ変調を探る 焦点は設備投資と大型IPO 野村證券ストラテジストが解説
2026年6月末から7月上旬にかけて、株式市場は方向感を探る展開が続いています。中東情勢は大きな混乱には至っていないものの、緊張が再び高まる可能性は残っており、投資家心理に影響を与えています。また、FRB(米連邦準備理事会)の新体制を受けて、米国の金利政策がどう変わるのかにも関心が集まっています。半期の変わり目は、投資家が注目するテーマが変わりやすい時期でもあります。本記事では、株式市場の年後半の注目点と、想定されるシナリオを整理します。
市場の焦点はAI・半導体から地政学リスクへ
7月8日にトランプ米大統領が「イラン停戦覚書は終わった」と発言したことを契機に、ここ数週間、AI・半導体に集中していた市場の焦点は地政学リスクに戻りました。WTI期近先物は一時76米ドル台に上昇し、日経平均先物も6万5千円台に下落しました。その後は原油高の一服に伴い、6万7千円台を回復しました。7月8日の米株式相場は安く始まったものの、エネルギーと半導体が小幅高となりました。
一方、米国債利回りは上昇し、金先物は下落しました。「株式を売って債券・金に資金を移す」動きはみられませんでした。3月以降の分刻みデータでは、WTI先物が1バレル10米ドル上昇すると、日経平均が瞬間的に3,000円前後(4〜5%)下落する傾向があります。業績面の感応度は、1バレル10米ドルの上昇でTOPIX(東証株価指数)のEPS(1株当たり利益)が1〜1.25%低下する程度です。指数先物の過剰な初動反応は、徐々に薄れると想定しています。
遅かれ早かれ収束&中長期目線が重要
2026年春に中東・イラン専門家は一様に「和平は困難」と自信満々に語りましたが、実際は異なる展開となりました。株式市場は4月上旬から停戦を織り込み始めたといえ、今後も試行錯誤しながら地政学リスクを先読みするとみられます。地政学リスクは予想できないものの、遅かれ早かれ収束するという中長期の目線が重要です。
3月は戦争を契機にリバーサル(反転)が優勢となりました。足元ではすでにリバーサル相場が始まっていますが、AI・半導体への警戒感の高まりもあります。4-6月決算発表の前後までは、ポートフォリオのこまめなリバランスが意識されやすく、短期的にはリバーサル優勢を想定しています。
6月後半以降はAI・半導体関連株が足踏み
6月後半以降のAI・半導体関連株の足踏みには、同分野に偏る日本株アクティブファンドのポートフォリオ見直しを通じたローテーションも影響していると考えられます。7月8日時点でも、日本株アクティブ投信のTOPIXベータ(市場感応度)は中央値で1.10前後です。ベータの抑制も意識されやすいでしょう。日本株アクティブ投信の人気上位銘柄のパフォーマンスも、6月中旬までは良好でしたが、6月後半以降は芳しくありません。
2026年後半はハイパースケーラー設備投資、大型IPOを介した資金循環が焦点
7月7日のイングランド銀行のFSR(金融システムレポート)でも、AI関連株への一極集中が指摘されました。
(注)AI関連時価総額は、AI特化型投資ファンドの保有対象銘柄をもとにBOEが算出。
(出所)BOEより野村證券市場戦略リサーチ部作成
米国のデータセンター投資に伴う外部資本への依存度の高さにも焦点が当てられました。2026年後半に向けた論点は、ハイパースケーラー(大規模クラウド事業者)の設備投資と、大型IPO(新規株式公開)を介した資金循環です。
6月後半以降は、AI・半導体株に関する投資家ポジションの偏りに加え、AI・半導体業界全体のゼロサムゲーム的な状況への懸念が強まりやすくなっています。また、今後の4-6月決算では、AI・半導体の増益率に対するコンセンサスがすでに極めて高い点も考慮する必要があります。
7月末に発表される大手企業決算(7月29日にアドバンテスト、7月30日に東京エレクトロン、7月31日に村田製作所とファナック)までは不透明感が残るほか、7月末の日経平均ウエイトのギャップ調整発表を控え、アドバンテストと東京エレクトロンは買いが手控えられやすいとみています。一方、7月末に好決算が相次げば、8月以降にリバウンドを試しやすくなる展開も想定しています。
(編集:野村證券投資情報部)
編集元アナリストレポート
Japan Macro Report – 下期の初動に投資テーマ変調を探る(2026年7月10日配信)
(注)各種データや見通しは、編集元アナリストレポートの配信日時点に基づいています。画像はイメージ。
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