2026.08.12 NEW
日経平均株価見通しを2026年末70,000円に上方修正 堅調な需給環境を反映 野村證券ストラテジストが解説
EPSの拡大を軸に株高基調が続くと見込む
2026年8月10日付でTOPIX(東証株価指数)のEPS(1株当たり利益)見通しを上方修正したことを主因に、日本株指数の見通しを引き上げます。メインシナリオでは、TOPIXを2026年末4,400、2027年末4,600、2028年末4,800、日経平均株価を2026年末70,000円、2027年末73,000円、2028年末76,000円に上方修正します。値上げや株式数の減少にも支えられたEPSの拡大を軸に、株高基調が続くと見込みます。
| 2026年12月 | 2027年6月 | 2027年12月 | 2028年6月 | 2028年12月 | ||
|---|---|---|---|---|---|---|
| メインシナリオ | TOPIX | 4,400 | 4,500 | 4,600 | 4,700 | 4,800 |
| 日経平均 | 70,000 | 71,750 | 73,000 | 74,750 | 76,000 | |
| 上振れ | TOPIX | 5,000 | 5,100 | 5,200 | 5,300 | 5,400 |
| 日経平均 | 80,000 | 81,750 | 83,000 | 84,750 | 86,000 | |
| 下振れ | TOPIX | 3,500 | 3,600 | 3,700 | 3,800 | 3,900 |
| 日経平均 | 55,000 | 56,750 | 58,000 | 59,750 | 61,000 | |
(出所)野村證券市場戦略リサーチ部作成
業績・需給・バリュエーション
1Q(第1四半期)決算を踏まえ、トップダウンによるTOPIXのEPS見通しを、2026年度244.0(前年度比19.2%増)、2027年度269.1(同10.3%増)、2028年度287.2(同6.7%増)に上方修正しました。足元の利益率の上振れ要因は、半分が一過性とみています。一方、残り半分を占める値上げや数量増、企業努力による効果には持続性があると想定します。
需給面では、1Q決算で自社株買いの発表が増え、年初来の累計額は20兆円を超えました。過去12ヶ月の累計額である24~25兆円には特殊要因による押し上げ分が含まれますが、年間20~22兆円前後の自社株買いの発表は持続可能と試算されます。国内株投信(ETF(上場投資信託)を除く)への資金流入に象徴されるように、個人投資家の買い意欲も依然として根強い状況です。海外投資家のフローも、グローバルファンドや日本株専門ファンドを通じて継続的にみられます。総じて、日本株の需給環境は引き締まっています。
(注)主体別売買の現・先合計数値。日銀分は、2026年1月以降のETF売却を反映。簿価で年率3,300億円という売却ペースを基準にして各時点の時価ベースでの週次売却数字に換算。2026年7月31日時点。
(出所)東京証券取引所、大阪取引所、日本銀行、JPX総研より野村證券市場戦略リサーチ部作成
世界比較では、日本企業の堅調な業績予想の上方修正が相場の支援材料となる一方、PER(株価収益率)の高さも意識されやすい状況です。TOPIXのPERは17倍台、日経平均株価のPERは23倍台と、過去のレンジを上回っています。今後は「G>R(名目経済成長率>名目長期金利)」の傾向が薄れるとともに、PERもやや低下すると想定します。ただ、PERが17倍台から16倍前後に低下した場合でも、TOPIXの妥当な水準として4,800前後が視野に入ります。
指数見通しと上下リスク
メインシナリオでは、TOPIXを2026年末4,400、2027年末4,600、2028年末4,800、日経平均株価を2026年末70,000円、2027年末73,000円、2028年末76,000円に引き上げます。
上振れシナリオでは、2026年末までにTOPIXが5,000前後、日経平均株価が80,000円前後の大台に達することも視野に入ります。具体的には、AI・DX(デジタルトランスフォーメーション)投資が想定以上の速さで生産性向上に寄与するケースや、賃金と消費の好循環が生じるケース、ROE(自己資本利益率)の改善につながる事業ポートフォリオ改革が進むケースなどを想定しています。日米の潜在成長率やTOPIXのROEが改善すれば、TOPIXのバリュエーション(投資尺度)は切り上がりやすくなります。
一方、下振れシナリオでは、2026年末までにTOPIXが3,500前後、日経平均株価が50,000円台前半まで下落する展開も排除できません。具体的には、イラン情勢の緊張再燃やAI・半導体ブームの失速、コーポレートガバナンス改革の後退などにより、日米の「G>R」環境や2026年度の2桁増益、株式数の減少が成立しなくなるようなレジームシフト(構造的な転換)を想定しています。内閣支持率が低下する局面では、海外投資家が売り越しに転じやすい傾向があります。
(注)内閣支持率はNHK調査。買い越し額は現先合計(01年以前は現物のみ)。
(出所)NHK、東京証券取引所、大阪取引所より野村證券市場戦略リサーチ部作成
今後もこうした上下動を繰り返す場面はあるとみられますが、中長期的な日本株の期待リターンは、配当込みで+7~8%前後と試算されます。これは株主資本コストとおおむね一致します。7月21日に改訂されたコーポレートガバナンスコード(企業統治指針)のもと、企業に資本コストを意識した経営が一段と根付くとともに、成長企業には「ROIC(投下資本利益率)>資本コスト」となる分野への投資を増やし、付加価値を生み出すことが期待されます。一方、「ROIC<資本コスト」となっている成熟企業には、事業ポートフォリオの見直しや持続的な株主還元の強化が期待されます。
セクター・テーマ物色
セクターでは、電機と機械を軸に、ファインケミカルと不動産も戦術的な注目セクターとします。一方、製薬、インバウンド、自動車は回避セクターとします。注目テーマは、防衛、原発、ロボット、ペロブスカイト太陽電池、アニメ、キャッシュリッチ、不動産リッチです。
(編集:野村證券投資情報部)
編集元アナリストレポート
日本株見通し修正:TOPIX EPS予想引き上げと堅調な需給環境を反映して上方修正 – TOPIX見通しを26年末4,400、27年末4,600に引き上げ(2026年8月10日配信)
(注)各種データや見通しは、編集元アナリストレポートの配信日時点に基づいています。画像はイメージ。
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