2026.09.03 NEW
TOPIXをアウトパフォームするリユース株 「生活防衛」と「プチ贅沢」需要を取り込み成長 野村證券ストラテジストが解説
物価高を追い風に二桁成長、TOPIXをアウトパフォーム
物価高による新品価格の上昇と節約志向を追い風に、リユース業界では低価格需要とプチ贅沢需要の双方を取り込む動きが広がっています。上場企業12社の業績も、二桁の増収・増益基調にあります。コンセンサス予想では、2026年度に前年度比15.2%増収、同35.6%経常増益、2027年度に同9.2%増収、同15.8%経常増益が見込まれています。2027年度には、売上高が計1.9兆円前後、経常利益が計1,500億円前後に達する見通しです。
リユース企業の株価は、2020年以降、TOPIX(東証株価指数)やTOPIX小売指数をアウトパフォームしてきました。過去の局面別のパフォーマンスを点検すると、リユース企業は景気局面にかかわらずアウトパフォームしてきました。なかでも、デフレ局面よりインフレ局面でアウトパフォームしやすい傾向がみられます。
(注)リユース銘柄12社の平均リターンより算出。
(出所)JPX総研、QUICKより野村證券市場戦略リサーチ部作成
マクロ面に加え、リユース企業の経営努力による収益性の改善も確認できます。リユース企業12社の予想ROE(自己資本利益率)は足元で20%を超え、PBR(株価純資産倍率)も3倍を上回っています。PBRが10倍超、ROEが30%のメルカリ(4385)の影響もありますが、メルカリを除いてもROEは16%に達します。こうしたROEの改善が、リユース企業全般の株価のアウトパフォームにつながっています。
(注)予想ROEは12ヶ月先予想純利益合計値÷純資産合計値より算出。業績予想はQUICKコンセンサス(東洋経済予想で補完)。
(出所)JPX総研、QUICK、東洋経済新報社より野村證券市場戦略リサーチ部作成
一方、予想PER(株価収益率)は17倍前後で、メルカリを除くと15倍前後にとどまります。収益性の高さや成長余地は十分に織り込まれていません。このため、今後も高い収益率を維持し、利益成長を実現できれば、堅調な株価パフォーマンスが期待できるとみています。
今後の伸びしろ(1) 都心≒高価格帯
原宿から表参道にかけての商業エリアを歩くと、大通りにはブランドショップの旗艦店や国内外のシューズショップ、大型施設が並び、リユース企業の店舗も多くみられます。特に、少し裏通りに入るとリユース企業の店舗が存在感を示しており、1社が複数の店舗を出店するケースも少なくありません。これは、アパレルや宝飾品、その他の雑貨など、リユース市場の多様化を象徴しています。
(注)2026年8月時点。厳密性よりは、リユース店を軸にしたおおまかな位置関係を示している。
(出所)野村證券市場戦略リサーチ部作成
また、リユース店の手提げ袋も、かつてのゲオやブックオフのような安価なイメージのものではなく、一般のショップ並みにおしゃれになっています。世界的なブランドショップの旗艦店周辺では、リユース店の手提げ袋を持って堂々と歩く日本人や外国人を多く見かけます。このように、郊外型店舗だけでなく、都心などで高価格帯商品の売上高を増やす余地もあると考えられます。
今後の伸びしろ&リスク(2) 海外市場
上場リユース企業12社の海外売上高は、2025年度に計1,000億円前後に達し、海外売上高比率は7%です。海外でもリユース市場の拡大が見込まれており、世界全体の市場規模は、2026年の約2,450億米ドルから2036年には1兆米ドル超に拡大するとの試算もあります。
(出所)QUICKより野村證券市場戦略リサーチ部作成
日本のリユース品は世界的にも品質が良いとされています。「外れ」を覚悟して購入することもあるとされる中国のネット通販などと比べ、日本のリユース企業には、品質への信頼を強みに海外市場を開拓する余地があります。課題は、国内と同水準のオペレーション(業務運営)で品質を担保しながら展開できるかどうかです。
一方、日本の小売企業による海外出店は、必ずしも成功が保証されているわけではありません。日本型の効率的なオペレーションを確立できるかどうかは、現地の消費者ニーズや商習慣、法規制、物流・人材・在庫管理体制への適応力にも左右されます。リユースビジネスでも、ブランド品の真贋基準や返品制度、免税手続き、人気カテゴリー、店舗賃料は国ごとに異なります。このため、日本で成功した査定・買い取り・販売モデルをそのまま移植できるとは限りません。
消費の二極化やメリハリ化が進むほどリユース市場の成長余地も広がる
都心部を含む出店増に伴う賃料負担や、国内金利環境の変化に伴う金利負担などの増加は、今後の利益率を押し下げる可能性があります。売上原価率も上昇傾向にあり、仕入れコストの増加分を販売価格に転嫁できなければ、営業利益率が低下する可能性があります。特にブランド品や時計、トレーディングカード、家電などは市場価格の変動が大きく、買い取り競争の激化で仕入れ価格が上昇すれば、販売価格を引き上げにくい局面で利幅が縮小しやすくなります。
リユース企業は、プチ贅沢関連企業や値上げを抑えた低価格小売り、食品スーパー、推し活関連企業と、消費者の限られた可処分所得を取り込む点で競合しています。一方、節約志向やメリハリ消費の重要性が高まるなか、拡大する市場を分け合う関係にもあります。
この中で、リユース企業は、新品価格が上昇する局面で割安感を提供しながら、ブランド品や衣料、ホビーなど「欲しいもの」への支出を可能にします。生活防衛とプチ贅沢の双方を取り込める点が強みです。低価格業態や食品スーパーが節約需要を、推し活関連企業が選択的支出を取り込む一方、リユース企業は幅広い商品カテゴリーと循環型消費を通じて、消費者の節約・趣味・資産売却の各需要を横断的に取り込む余地があります。競合業態の拡大は一定のリスクですが、消費の二極化やメリハリ化が進むほど、リユース市場の成長余地も広がると考えられます。
(編集:野村證券投資情報部)
編集元アナリストレポート
リユースブームの舞台裏と投資の視点 – 節約志向の産物か、それとも、新時代の消費スタイルか(2026年8月28日配信)
(注)各種データや見通しは、編集元アナリストレポートの配信日時点に基づいています。画像はイメージ。
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