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2026.09.07 NEW

長期金利3%到達で日本株はどう動く? 金利上昇に強い属性を備える銘柄リスト 野村證券ストラテジストが解説

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「金利ある世界」vs「財政リスクプレミアム拡大」:結局はマクロ政策運営次第

主要紙の朝刊は9月2日、長期金利の3%到達を1面で報じました。「金利ある世界」との受け止めから「財政リスクプレミアムの拡大」を警戒する見方まで、論調は様々でした。9月2日の日本株主要指数が大幅安となると、この時を待っていたかのように「宴の終わり」「金利上昇でハイテク売り」といった見出しも躍りました。もっとも、10年国債利回りが節目を突破した局面のTOPIX(東証株価指数)を振り返ると、株高基調が途絶える傾向は特に見られません。

1984年以降の日本の長期金利の節目超え前後のTOPIXの傾向

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(注)1984年以降の「長期金利の節目超え」は、10年国債利回りが、1~6%の0.5%刻みの節目を下から上に抜けた場面(過去半年は1度も記録しておらず、当該日に初めて到達したケースの21回)。
(出所)Bloomberg、日本証券業協会、JPX総研より野村證券市場戦略リサーチ部作成

バブル期には、ブラックマンデー直前の1987年9月やバブル崩壊時の1990年1月に、長期金利が6%に達して株安となる場面もありました。1987年は、その後の緩やかな利上げ姿勢とともに長期金利も安定し、1989年末にかけて息の長い株高となりました。一方、1990年は、その後の大幅な利上げに不動産規制や湾岸戦争も相まって、株価と地価が大きく下落し、「失われた30年」の引き金となりました。結局はマクロ政策の運営次第です。

足元の日経先物は米韓株先物との連動性が高く、9月2日の日本株の大幅安も、この経路による影響が大きいとみられます。「金利上昇・株安」となる日もありますが、ならしてみると、TOPIXと10年国債利回りは正の相関関係にあり、「株高・金利上昇」の組み合わせが支配的です。

TOPIXと10年国債利回りの相関関係

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(注)TOPIXと10年国債利回りの相関係数を50日ローリングで計測し、+0.4以上を正の相関、-0.2以下を負の相関と定義。
(出所)JPX総研、Bloombergより野村證券市場戦略リサーチ部作成

4~6月の大企業の増収率8.9%、借入金利回り1.6%:「G>R」環境を再確認

4~6月の名目GDP(国内総生産)成長率は前年同期比3.2%、法人企業統計における大企業の売上高成長率は同8.9%でした。一方、借入金利回りは1.6%と、市中金利ほど急上昇していません。「長期金利が何%までなら日本株は耐えられるか」は難しい問題です。ただ、「名目成長率>名目金利(G>R)」の環境を軸に考えると、長期金利が3~4%のレンジを上回れば、警戒感が高まりやすくなるでしょう。

法人企業統計では、中堅企業が4-6月期に減収となり、「G>R」を満たせないなど、企業規模による格差も見られます。大企業の産業別増収率(前年同期比)と借入金利子率を基に、「G>R」の度合いが強い順に並べると、情報通信機械、石油・石炭、非鉄などは、高い増収率を背景に「G>R」の度合いが強くなっています。一方、繊維、医療福祉、教育学習支援などは「R>G」となっています。金利上昇の影響は、セクター間でも大きな差があります。

金利上昇に強い企業の4つの属性:バリュー、債券ベータ、利払い能力、ネットキャッシュ

長期金利の上昇を受け、バリュー(割安株)が物色されやすくなっています。足元では、債券ベータ(債券利回りへの感応度)も有効性を示しています。10年国債利回りとの連動性を見ると、金利上昇時にはインタレストカバレッジ(利払い能力)やネットキャッシュ(手元資金から有利子負債を差し引いた額)への関心も高まりやすくなります。金利上昇に強い属性を備えた企業を抽出すると、銀行・保険のほか、化学、石油精製、鉄鋼、自動車、海運、放送局が該当します。

金利上昇に強い属性を備える企業
銘柄
コード
銘柄名 来期
PER
(倍)
実績
PBR
(倍)
今期
配当
利回り
(%)
ネット
キャッシュ
÷時価総額
(%)
インタレスト
カバレッジ
(倍)
債券ベータ
2670 エービーシー・マート 13.3 1.67 2.98 30.9 1,851.8 -10.7
3659 ネクソン 23.2 2.32 7.26 32.5 71.0 -1.9
4183 三井化学 12.5 0.96 3.39 -70.6 9.2 -2.7
4204 積水化学工業 12.2 1.27 3.15 -8.4 77.7 -11.3
4528 小野薬品工業 20.0 1.30 3.16 8.3 44.3 -3.0
4676 フジ・メディア・ホールディングス 13.8 1.11 4.82 -72.3 -0.7 1.3
4901 富士フイルムホールディングス 12.8 1.10 2.24 -23.2 72.4 -2.2
5020 ENEOSホールディングス 12.0 1.00 2.88 -52.7 12.7 0.1
5021 コスモエネルギーホールディングス 8.5 1.02 3.97 -59.8 27.9 -2.2
5076 インフロニア・ホールディングス 10.5 1.12 3.92 -32.6 10.5 -0.4
5401 日本製鉄 10.0 0.65 3.47 -135.3 2.9 -2.6
5406 神戸製鋼所 8.1 0.65 3.87 -68.7 10.3 -1.1
5411 JFEホールディングス 8.4 0.47 4.32 -179.9 4.2 -1.7
5444 大和工業 11.3 1.38 3.19 31.8 67.2 -4.9
5929 三和ホールディングス 12.8 2.26 3.96 9.4 59.1 -20.6
6448 ブラザー工業 13.6 1.54 2.26 19.2 62.5 7.2
6586 マキタ 16.6 1.37 3.09 17.3 96.1 -1.2
6902 デンソー 12.2 0.97 3.87 1.4 33.1 -13.3
7181 かんぽ生命保険 11.3 0.40 3.32 14.1
7189 西日本フィナンシャルホールディングス 13.3 1.07 2.83 11.1
7203 トヨタ自動車 11.2 1.03 3.32 -73.5 69.7 -10.2
7259 アイシン 9.0 0.76 3.40 -6.8 40.6 -10.7
7261 マツダ 6.2 0.42 4.53 45.9 4.8 -6.1
7269 スズキ 9.4 1.23 2.45 6.1 40.2 -4.4
7270 SUBARU 9.8 0.70 4.53 29.7 16.4 -1.1
7282 豊田合成 9.9 1.13 3.28 4.7 25.9 -5.8
7337 ひろぎんホールディングス 12.2 1.19 2.93 10.1
7459 メディパルホールディングス 12.9 0.92 2.33 46.1 4,350.5 -3.7
7912 大日本印刷 13.2 1.08 1.34 3.1 41.7 -9.5
7951 ヤマハ 17.8 1.21 2.04 16.0 47.4 5.2
8354 ふくおかフィナンシャルグループ 12.5 1.33 2.77 14.5
8418 山口フィナンシャルグループ 13.8 0.96 3.00 11.2
8473 SBIホールディングス 9.9 1.14 3.75 5.4
8572 アコム 10.7 1.07 4.62 0.0
8593 三菱HCキャピタル 10.9 1.01 3.80 -3.0
8630 SOMPOホールディングス 11.6 1.16 2.92 -3.2
8725 MS&ADインシュアランスグループ 13.5 1.11 3.34 5.9
9101 日本郵船 13.7 0.92 3.28 -39.5 6.8 3.9
9104 商船三井 12.0 0.81 2.91 -94.1 3.6 3.8
9201 日本航空 10.0 1.21 3.29 25.8 -6.6
9404 日本テレビホールディングス 13.4 0.70 1.53 24.3 343.5 -8.4
9503 関西電力 10.2 0.92 2.81 -118.8 11.1 -3.3

(注)対象は時価総額6,000億円以上のTOPIX500構成企業。このうち、来期予想PERが下位33%、実績PBRが下位33%、今期予想配当利回りが上位33%、ネットキャッシュ÷時価総額が上位33%、インタレストカバレッジレシオが上位33%、債券ベータが上位33%という6条件中4条件以上を満たす企業をスクリーニング。業績・配当予想はQUICKコンセンサス(東洋経済予想で補完)。2026年9月2日時点。
(出所)QUICK、東洋経済新報社より野村證券市場戦略リサーチ部作成

金利上昇時に銀行株が上がらないと不安感も

銀行セクターの相対株価は7月27日に直近の高値を付けました。その後、日銀がタカ派姿勢を強め、長期金利が上昇したにもかかわらず、一進一退で推移しています。銀行株が先行きの利上げを相応に織り込んでいることに加え、7月末時点でアクティブ型投資信託の銀行株保有比率が高まっていたことも影響しています。日本の長期金利が節目を超えた前後の銀行セクターの相対株価を見ると、平均ではTOPIXを上回りましたが、中央値ではTOPIX並みでした。1987年秋や1990年初めのように、金利上昇局面で銀行株が上昇しなければ、不安感が高まる可能性があります。

(編集:野村證券投資情報部)

編集元アナリストレポート

日本株ウィークリー(2026年9月3日) – 長期金利3%で騒ぐべきか?名目成長率との比較が軸(2026年9月3日配信)

(注)各種データや見通しは、編集元アナリストレポートの配信日時点に基づいています。画像はイメージ。

※本記事は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としており、投資勧誘を目的として作成したものではございません。また、将来の投資成果を示唆または保証するものでもございません。銘柄の選択、投資の最終決定はご自身のご判断で行ってください。

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