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2026.03.02 NEW

イラン攻撃でホルムズ海峡、実質航行不能に 日本経済にも一定の影響が及ぶ可能性 野村證券・岡崎康平

イラン攻撃でホルムズ海峡、実質航行不能に 日本経済にも一定の影響が及ぶ可能性 野村證券・岡崎康平のイメージ

撮影/タナカヨシトモ(人物)

2月28日、米国とイスラエルがイランを攻撃しました。空爆により、イラン最高指導者のハメネイ師をはじめ政府高官が複数死亡したとみられます。イラン側は対抗措置として、イスラエルに加え中東各地の米軍基地などを報復攻撃し、イスラエルやドバイ、アブダビなどでも被害が報じられています。野村證券チーフ・マーケット・エコノミストの岡崎康平は、中東からの化石燃料輸入への依存度が高い日本経済にも一定の影響が及ぶ可能性があるとみています。以下で詳細を解説します。

イラン攻撃でホルムズ海峡、実質航行不能に 日本経済にも一定の影響が及ぶ可能性 野村證券・岡崎康平のイメージ

イラン情勢が流動化

イラン政府は40日間の服喪期間に入ると同時に、次期指導者の選出手続きに進む見通しです。秩序が維持されなければ、イランが内戦状態に陥る可能性もあり、情勢は一段と流動化するリスクをはらみます。イランがサウジアラビア、アラブ首長国連邦、カタール、オマーンなど周辺国を攻撃していることもあり、ホルムズ海峡を中心に中東一帯で航行の自由が脅かされています。中東からの化石燃料輸入に依存する日本経済にも、一定の影響が生じ得る状況です。

原油価格が1バレル100米ドルに上昇した場合、実質GDPは0.3%強押し下げ

内閣府マクロモデルで試算すると、ドバイ原油価格が1バレル100米ドルまで上昇した場合、日本の実質GDP(国内総生産)は年間で0.3%程度押し下げられる計算です。物価上昇を通じて個人消費に影響が及ぶ可能性が高いといえます。

国際商品市場でエネルギー価格が高騰した場合、日本経済への影響は避けにくいと考えられます。特に、価格高騰や供給途絶が長期化すると影響は大きくなりやすい点に注意が必要です。日本は石油で250日程度、LPガス(液化石油ガス)で100日程度の備蓄制度を持ちますが、火力発電で主に使用される天然ガスには制度的な備蓄がなく、相対的に手薄です。

政策面の含意

今回の事態を受け、高市早苗首相は国家安全保障会議を開催し、関係閣僚に経済的影響などを洗い出すよう指示しました(日本経済新聞、2月28日付)。エネルギー価格高騰への懸念が強まれば、2026年1-3月使用分に適用されている電気・ガス料金補助金の拡充・延長が議論の俎上に載る可能性があります。2025年度予算の予備費は約8,600億円が未使用で残っているため、財源面の懸念は小さいとみられます(なお、予備費を年度をまたいで使用した例として、コロナ禍に関連した2021年度の事例があります)。

金融政策への影響は、現時点では不確実性が高い状況です。基本線としては、日本銀行の4月の展望レポートまでイラン情勢を見極めたうえで政策に反映されると考えるべきです。エネルギー価格の上昇が企業・家計のインフレ期待を押し上げる可能性がある一方、交易条件の悪化を通じて国内景気には下押し圧力がかかります。これを踏まえると、金融市場では4月会合での追加利上げを見込む向きがやや後退すると考えられます。6月会合や7月会合での利上げ確率も低下する可能性は否めませんが、インフレ期待が上振れするリスクやイラン情勢そのものの不確実性を踏まえると、4月会合に比べて市場予想の変動は小さいとみられます。

中間選挙に向け、トランプ外交で市場は動揺が続くか

2026年に入り、米国による武力行使が目立っています。背景には、11月3日投開票の中間選挙があるとみられます。これを踏まえると、中間選挙に向けてトランプ外交が金融市場を動揺させ続ける展開が想定されます。3月末〜4月初の米中首脳会談、7月の米国建国250周年記念日、10月ごろとみられるノーベル平和賞の授与前後など、今後も米国政府の動きを想起させるイベントが控えている点に注意が必要です。

イラン攻撃でホルムズ海峡、実質航行不能に 日本経済にも一定の影響が及ぶ可能性 野村證券・岡崎康平のイメージ
チーフ・マーケット・エコノミスト
岡崎康平
2009年に野村證券入社。シカゴ大学ハリス公共政策大学院に留学し、Master of Public Policyの学位を取得(2016年)。日本経済担当エコノミスト、内閣府出向、日本経済調査グループ・グループリーダーなどを経て、2024年8月から、市場戦略リサーチ部マクロ・ストラテジーグループにて、チーフ・マーケット・エコノミスト(現職)を務める。日本株投資への含意を念頭に置きながら、日本経済・世界経済の分析を幅広く担当。共著書に『EBPM エビデンスに基づく政策形成の導入と実践』(日本経済新聞社)がある。

※本記事は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としており、投資勧誘を目的として作成したものではございません。また、将来の投資成果を示唆または保証するものでもございません。銘柄の選択、投資の最終決定はご自身のご判断で行ってください。

 
   
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