2026.09.30 NEW
3つの逆風でも大崩れしない米国株 景気・業績改善とマネー・貸出拡大が支え 野村證券ストラテジストが解説
9月は米国株一進一退も半導体・高ベータ堅調:ローテーション取引的な流れ
2026年9月の米国株は、指数間・銘柄間の格差が目立つローテーション相場となりました。金利上昇に加え、AIの減速懸念が台頭し、PER(株価収益率)が抑制されやすいなか、半導体株や高ベータ株は比較的堅調でした。主な要因は、AI・半導体株の割高感の解消と、AI分野を含む景気・業績の改善(≒EPS(1株当たり利益)の拡大)です。多くの投資家は、インフレや景気拡大が大きく崩れないとの大局観のもと、「株式から債券」へのシフトをリバランスの範囲内にとどめ、株式内でリバーサル=ローテーション取引を進めています。
逆風1:中間選挙への警戒、大きなネガティブサプライズがなければ株高も
11月3日の米中間選挙では、議会構成によって財政政策やAI・データセンター投資、金融政策への見方が変わる可能性があります。一方、与党の苦戦は毎回みられるため、民主党の勝利が想定内であれば影響は限定的との見方もあります。中間選挙前の株価指数はやや軟調となる一方、選挙後は議会構成にかかわらず上昇するという過去の傾向も意識されやすい状況です。
(出所)S&P、Bloombergより野村證券市場戦略リサーチ部作成
逆風2:FRB利上げ・10年国債利回り5%超、目先はPER抑制要因に
9月16日のFRB(米連邦準備理事会)による利上げ決定後も長期金利は上昇し、米10年債利回りは8月末の4.75%から9月末には一時5.25%超まで上昇しました。過去を振り返ると、長期金利が特定の節目を超えたからといって、直ちに株価が急落するケースは多くありませんでした。ただ、数ヶ月後にかけてS&P500が弱含む場面もみられました。
(注)「米国10年国債利回り5%超え」局面は、過去25営業日で5%未満だった米10年国債利回りが5%を超えたケース(1999年以降)。こうした場面におけるS&P500の傾向を点検した
(出所)S&P、Bloombergより野村證券市場戦略リサーチ部作成
金利上昇の遅行効果への警戒は今後も続きやすく、目先はPERの抑制要因となるでしょう。
逆風3:AI開発減速懸念台頭、割安になったAI・半導体株
9月中旬には、一部のAI企業トップがAI開発の減速を求める情報を発信し、AI・半導体関連株が一時下落する場面もみられました。ただ、経済安全保障や競争上の理由から、現実には投資の減速は容易ではありません。AI・半導体企業の来期予想PERは15~17倍台と、業績の下振れリスクを相当程度織り込んだ可能性があります。この場合、業績予想並みの決算となるだけでも、株価は底堅く推移しやすいでしょう。
(注)AI・半導体企業はエヌビディア、AMD、ブロードコム、マイクロン、マーベルテクノロジーズ、AMAT、テラダイン、コーニング、インテル。業績予想はBloomberg。凡例では直近値(2026年9月28日)、2015年1月以降の平均値、中央値を表示。
(出所)Bloombergより野村證券市場戦略リサーチ部作成
景気・業績改善やマネー拡大が継続する中での株価見通しと投資戦略
米国の景気指標やマクロサプライズは堅調で、半年後の景気後退確率も直近では1割弱に抑えられています。S&P500のEPSは、2026年に前年比+34.2%、2027年に同+10.8%を見込んでいます。M2(通貨供給量)は直近で前年比+5~6%の伸びとなり、2010年代の通常レンジに戻りました。マネーや貸し出しの拡大、株式ファンドへの資金流入も、株式相場を下支えしやすい状況です。
メインシナリオでは、S&P500を2026年末に8,000、2027年末に8,500、2028年末に9,000と引き続き予想します。
| 2026年 | 2027年 | 2028年 | 2029年 | |||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 12月 | 3月 | 6月 | 9月 | 12月 | 3月 | 6月 | 9月 | 12月 | 3月 | |
| S&P500 | 8,000 | 8,100 | 8,200 | 8,300 | 8,500 | 8,600 | 8,700 | 8,800 | 9,000 | 9,100 |
| 下限 | 7,100 | 7,100 | 7,200 | 7,300 | 7,400 | 7,400 | 7,400 | 7,500 | 7,700 | 7,800 |
| 上限 | 8,700 | 8,900 | 9,100 | 9,200 | 9,400 | 9,600 | 9,700 | 9,800 | 10,000 | 10,100 |
(出所)野村證券市場戦略リサーチ部作成
目先は10月末から11月初めにかけて、中間選挙やFOMC(米連邦公開市場委員会)、決算を控え、一進一退となりやすいものの、EPSの拡大が中長期的な支援材料となります。投資戦略では、半導体・銀行を軸に、クオリティ株、等ウェイト指数、資源インフラ、素材・鉄鋼を組み合わせるバーベル型を重視します。
(編集:野村證券投資情報部)
編集元アナリストレポート
米国マクロメモ:3つの逆風でも大崩れしない米国株 – 金利上昇&AI減速懸念台頭でも半導体・グロース株高という意外な展開、ローテーション相場継続(2026年9月29日配信)
(注)各種データや見通しは、編集元アナリストレポートの配信日時点に基づいています。画像はイメージ。
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