2026.11.04 NEW
GAFAM 2026年7-9月期決算 なぜ株価が一時下落したか?AIデータセンター投資の動向を解説 野村證券・村山誠
写真/タナカヨシトモ(人物)
米国株市場の動向を大きく左右するGAFAMと呼ばれる企業群(アルファベット、アップル、メタ・プラットフォームズ、アマゾン・ドットコム、マイクロソフト)の2026年7-9月期決算が11月2日までに出そろいました。その内容と米国株式市場への影響について、野村證券投資情報部シニア・ストラテジストの村山誠が解説します。
3社の決算実績が市場予想平均を下回る結果に
- 足元でGAFAM5社の株価は冴えない展開となっています。11月2日までに各社の2026年7-9月期決算が出そろいましたが、今回の決算概要について、教えてください。
| 銘柄名 | 売上高 (億米ドル) |
市場予想比 増減率 (%) |
前年同期比 増減率 (%) |
|---|---|---|---|
| アルファベット | 1,275.77 | -0.3 | 24.7 |
| アマゾン・ドットコム | 2,019.44 | -0.1 | 12.1 |
| メタ・プラットフォームズ | 646.01 | 2.0 | 26.1 |
| アップル | 1,144.77 | 0.9 | 11.7 |
| マイクロソフト | 922.79 | 1.8 | 18.8 |
| 銘柄名 | EPS (米ドル) |
市場予想比 増減率 (%) |
前年同期比 増減率 (%) |
|---|---|---|---|
| アルファベット | 2.12 | -29.8 | -26.1 |
| アマゾン・ドットコム | 1.89 | -4.1 | -3.1 |
| メタ・プラットフォームズ | 3.83 | -41.4 | 264.8 |
| アップル | 2.10 | 5.5 | 13.5 |
| マイクロソフト | 4.89 | 3.8 | 18.4 |
(注)EPSは希薄化後及び調整後。マイクロソフトの調整後EPSはオープンAIへの投資の影響を除いたベース。
(出所)会社発表、ファクトセットより野村證券投資情報部作成
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2026年7-9月期決算では、マイクロソフトとアップルは、売上高とEPS(1株当たり利益)が調査会社ファクトセット集計による市場予想平均を上回りました。メタ・プラットフォームズも、売上高実績は市場予想平均を上回り、EPSについても一時的要因を除けば実績は上回りました。
一方、アルファベットとアマゾン・ドットコムについては、売上高、EPSともに実績は市場予想平均を下回りました。
前回の2026年4-6月期決算では、5社とも売上高は事前のアナリスト予想平均を上回り、EPSについても、メタ・プラットフォームズを除いて実績は市場予想平均を上回っていました。2026年7-9月期決算では、決算実績が市場予想平均を下回った会社が出てきたことは、特徴的かと思います。
アマゾン・ドットコムについては、同社の販促セールであるPrime Dayの開催時期が、2025年は7-9月期であったのに対し、2026年は主要国では4-6月期に実施され、この開催時期変更による影響が、インターネット小売に加え、広告事業に影響した模様です。
アルファベットについては、検索エンジンなどの広告収入を含むGoogle Servicesにおける売上高が、市場予想平均を下回りました。
ただし、アマゾン・ドットコム、アルファベット両社とも、クラウド事業については、売上高は堅調でした。
GAFAM、決算後に株価の上値が重い背景は?
- 決算実績が市場予想を上回った会社を含め、5社とも直近、株価の上値が重く推移しているのは、なぜでしょうか。
(注)株価は日次で、直近値は2026年11月3日。
(出所)野村證券投資情報部作成
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AI関連の設備投資負担が警戒されていることが考えられます。
アップルを除く4社はハイパースケーラーと呼ばれ、AIデータセンターへの巨額な投資を行っています。
メタ・プラットフォームズは、2026年12月期通期の設備投資額を1,350~1,450億米ドルとし、従来計画の1,300~1,450億米ドルから予想レンジの下限を引き上げました。
アルファベットは、2026年12月期通期の設備投資額を1,950~2,050億米ドルとし、従来見通しを維持しましたが、2027年には設備投資額を大きく増額する見込みであるとしました。
アマゾン・ドットコムも、2026年12月期通期の設備投資額は約2,200億米ドルと従来見通しを維持しましたが、2027年にはこれを大幅に上回る投資を行う見込みであるとしました。
マイクロソフトは、2026暦年での設備投資額は約1,700億米ドルとなる見込みであるとしました。この金額は、2026年4-6月期決算の際に示した約1,750億米ドルを下回るものの、これは外部事業者による設備容量の提供遅延を踏まえてのものだとしています。そして、同社の決算期末は6月ですが、2027年6月期下期には、設備投資額が加速すると現時点で見込んでいると、決算説明会においてコメントしました。
4社とも2027年にかけて設備投資額が拡大することを示唆したことが、巨額なAI投資からの投資資金回収と、資金調達に伴う財務負担が警戒された可能性が考えられます。
直近でこそやや落ち着きを示していますが、米国長期金利は上昇しています。米シカゴ地区連銀によって発表される米国における企業の資金調達の容易さを示すNFCI(米金融環境指数)をみても、FRB(米連邦準備理事会)が2026年9月FOMC(連邦公開市場委員会、9月16日結果発表)で利上げを行って以降、企業の資金調達環境は困難な方向に向かっています。
- 他の4社のような巨額なAIデータセンター投資を行っていないアップルの株価も下落しました。株価の下落要因をどう見ていますか。
-
そうですね。アップルは外部企業へのAIモデルの提供などからは距離を置いており、同社は他の4社のような規模では、AIデータセンター投資は行っていません。
決算発表後、同社の株価が下落した要因は、直近のメモリー価格の上昇などが、iPhoneなど同社の主力製品の収益性を圧迫していることが嫌気されていると推察されます。
2026年7-9月期決算の説明会でアップルは、2026年10-12月期の売上高総利益率(粗利率)は45~46%との見通しを示しました。市場予想平均は46.9%だったので、これを下回る見通しを示したことに、株式市場ではネガティブに反応していると推察されます。
売上高総利益率の見通しについて会社は、主としてメモリーコストの上昇に加え、同社の音声・会話型AIアシスタントであるSiri AIの立ち上げ、拡大に関連する一部コストを含んでいるとしています。
- 今後の各社の業績動向を見るうえで、注目点はどこでしょうか。
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米国では、年末商戦が小売業界における重要イベントとなっています。このため、アマゾン・ドットコムについては同期間におけるオンライン小売が、アルファベットとメタ・プラットフォームズについては同期間における広告収入が盛り上がることから、例年10-12月期が、四半期別売上高では最も大きな金額となっています。
アップルについても、例年9月下旬にiPhoneの新製品を発売し、その売上高が10-12月期から四半期を通して貢献することから、やはり10-12月期が最も大きな売上高を計上する四半期となっています。
今後、メディアなどによる報道を通し、各社の売上高の動向などについて、状況を確認していきたいと考えます。また、各社ともAI関連事業の収益化が進むかも、注目されます。
目先のイベントとしては、11月12日に半導体製造装置大手のアプライド・マテリアルズが、2026年8-10月期の決算発表を予定しています。同社の決算では、半導体製造装置市場の動向に関する経営陣のコメントなどを通し、半導体業界に関する示唆を確認したいと考えます。
11月17日には、エヌビディアが2026年8-10月期決算発表を予定しています。時価総額で世界最大の半導体企業であり、同社の業績動向に加え、AI半導体の市場動向についての会社側の情報発信が注目されます。
なお、マイクロソフトは11月17~20日に「Microsoft Ignite」というイベントを、アマゾン・ドットコムは11月30日~12月4日で「AWS re:Invent」というイベントを開催する予定です。これらはソフトウェアやAI、クラウド関連の技術者や開発者向けのイベントですが、これらで発表された内容に関するメディアの報道などを通して、両社のAI事業の収益化の状況について示唆が得られるかも、注目されます。
- 野村證券 投資情報部 シニア・ストラテジスト
村山 誠 - 1990年野村総合研究所入社、1998年に野村證券転籍。エクイティアナリスト、クレジットアナリストとして勤務。2011年6月より米国株ストラテジー担当。投資環境の分析、個別株の投資アイデアを提供。テレビ東京「Newsモーニングサテライト」出演中。
※記事の中で個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。この記事は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としており、投資勧誘を目的として作成したものではございません。また、将来の投資成果を保証するものでもございません。銘柄の選択、投資の最終決定はご自身のご判断で行ってください。
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