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2026.10.19 NEW

ディスクロージャー優良企業の条件は? 今後業種別1位になる可能性のある企業リスト 野村證券ストラテジストが解説

ディスクロージャー優良企業の条件は? 今後業種別1位になる可能性のある企業リスト 野村證券ストラテジストが解説のイメージ

先読み視点で注目したいディスクロージャー優良企業

2026年10月8日に日本証券アナリスト協会が「2026年度 ディスクロージャー優良企業」を公表しました。企業の開示姿勢や投資家との対話を評価する表彰です。2026年8月に東証フォローアップ会議が公表した投資家・事業会社双方に関する結果や高評価企業・投資家モニタリングと同様、企業による緊張感のある対話を促すものと位置づけられます。

株価の特徴を見ると、優良企業の株式を公表後1年間保有した場合、TOPIX(東証株価指数)並みのパフォーマンスが得られる一方、業種別1位を明け渡した企業はアンダーパフォームする傾向が見られます。なお、「仮に1年前から優良企業に投資できたら」という仮想ポートフォリオのパフォーマンスは極めて良好です。

ディスクロージャー優良企業(公表前1年間)のパフォーマンス

ディスクロージャー優良企業の条件は? 今後業種別1位になる可能性のある企業リスト 野村證券ストラテジストが解説のイメージ

(注)毎年10月に公表されることを踏まえて、公表1年前の月末(前年10月末)から1年間のロングポートフォリオ(等ウェイト)を構築して公表月の月末(10月末)まで運用して入れ替えると仮定。
(出所)日本証券アナリスト協会、JPX総研より野村證券市場戦略リサーチ部作成

日々の株価形成を通じて、市場が優良企業を先読みしているとも言えます。一方、業種別1位を明け渡した企業は、公表前後のいずれの期間もアンダーパフォームしており、開示評価の後退が株価にも表れる可能性があります。その意味で、2025年に表彰されたものの、2026年に表彰対象から外れた企業は警戒されやすいと考えられます。

日本の証券アナリスト協会のディスクロージャー優良企業
2025年10月公表 2026年10月公表
建設・住宅・不動産 1808 長谷工コーポレーション 8802 三菱地所
食品 2802 味の素 2802 味の素
化学・繊維 4183 三井化学 4183 三井化学
トイレタリー・化粧品 4452 花王 4452 花王
医薬品 4519 中外製薬 4503 アステラス製薬
鉄鋼・非鉄金属 5741 UACJ 5741 UACJ
機械 休み 6301 コマツ
電機・精密 6501 日立製作所 6479 ミネベアミツミ
自動車・同部品・タイヤ 5108 ブリヂストン 5101 横浜ゴム
エネルギー 5021 コスモエネルギーホールディングス 1605 INPEX
運輸 9142 九州旅客鉄道 9020 東日本旅客鉄道
通信・インターネット 9434 ソフトバンク 9434 ソフトバンク
商社 8031 三井物産 8001 伊藤忠商事
小売 7936 アシックス 7936 アシックス
銀行 8316 三井住友フィナンシャルグループ 8316 三井住友フィナンシャルグループ
保険・証券・その他金融 8766 東京海上ホールディングス 8766 東京海上ホールディングス
ITサービス・ソフトウェア 4307 野村総合研究所 4307 野村総合研究所
広告・メディア・エンタテイメント 6460 セガサミーホールディングス 7832 バンダイナムコホールディングス
新興市場 7685 BuySell Technologies 7685 BuySell Technologies
141A トライアルホールディングス 4419 Finatextホールディングス
3479 TKP 219A Heartseed

(出所)日本証券アナリスト協会より野村證券市場戦略リサーチ部作成

ディスクロージャー優良評価となる条件

公開されているディスクロージャー優良企業選定に関する報告書には、業種ごとに多くのアナリストによる評価が記されています。評価のポイントは、(1)分析に使える定量情報の継続的な開示、(2)経営者・CFO(最高財務責任者)による経営戦略・資本政策の説明、(3)社外取締役との対話、(4)決算説明会以外での情報発信、(5)リスクや不都合な情報と改善策の発信などです。2025年以降は、中長期的な企業価値向上に関する開示を重視した評価項目・配点となっています。

2026年度ディスクロージャー優良企業選定報告書での評価ポイントにおける好事例
特徴 評価された企業 報告書で確認できる内容
1. 投資家が分析に使える定量情報の継続開示 4183 三井化学 製品別・子会社別データなどが充実。業績動向や中長期の方向性を、定量情報を交えて説明していると評価
6301 小松製作所 地域別需要、稼働時間、コンポーネント別動向、利益増減要因など、投資判断に必要な定量情報を網羅的に開示する点が評価
8316 三井住友フィナンシャルグループ セグメント別・プロダクト別データやKPIを継続的に開示。中期経営計画期間の利益見通しなども評価
2. 経営トップ・CFO自身による経営戦略・資本政策の説明 4503 アステラス製薬 CEO・CFOが経営計画や資本配分を説明し、投資家との対話を積極的に実施した点が評価
8001 伊藤忠商事 会長など経営トップが投資家と対話し、ROE目標や株主還元について説明している点が評価
9020 東日本旅客鉄道 CEOミーティングや経営計画を通じ、企業価値向上、ROE目標、資本政策を説明している点が評価
3. 社外取締役との対話機会 6479 ミネベアミツミ 社外取締役と投資家のスモールミーティングが、有意義な対話機会になっていると評価
8316 三井住友フィナンシャルグループ ESG関連の全項目で最上位評価。社外取締役を含む説明会や対話機会の充実が評価
9020 東日本旅客鉄道 経営陣のIR姿勢等のうち、社外取締役に関する項目が業種内で最高評価。社外取締役とのミーティングやIR Dayで率直かつ有益な対話を行っている点が評価
4. 決算説明会以外の情報発信の増加 2802 味の素 工場見学会や電子材料説明会など、決算以外の情報提供も充実していると評価
6301 小松製作所 事業・技術説明会や工場見学会を継続的に実施し、事業理解を深める機会を提供
7936 アシックス IR Dayや海外拠点ツアー、個人投資家向け説明会を実施している点が評価
5. リスクや不都合な情報とあわせて改善策も説明 2802 味の素 投資家の質問に誠実に対応し、経営上の課題も含めて説明している点が評価
4307 野村総合研究所 海外事業の減損など、ネガティブ情報を含め、発生背景や課題事業の状況を詳しく開示
7685 BuySell Technologies ネガティブ情報や弱点も開示し、KPIやセグメントの状況、今後の見通しを説明している点が評価

(出所)日本証券アナリスト協会より野村證券市場戦略リサーチ部作成

ディスクロージャー優良企業はクオリティ株と重なる傾向:先読み視点が重要

ディスクロージャー優良企業のROE(自己資本利益率)とアナリストレーティングは、総じて市場全体(TOPIX)より高い水準です。中央値で見ると、ROEは15%前後、レーティングは「やや強気」と「強気」の間に位置するケースが多く見られます。こうした特徴は、市場参加者が「クオリティ」と見なす特性と重なると言えます。

実際、日本株クオリティ系ファクターリターン・スタイル指数のパフォーマンスと、ディスクロージャー優良企業の選定後1年間の株価パフォーマンスは連動しやすいものの、いずれも安定的にアウトパフォームするわけではありません。一方、ディスクロージャー優良企業の選定前1年間の株価パフォーマンスは、比較的安定してアウトパフォームしており、先読みの視点が重要と言えます。

今後の改善余地という視点でのスクリーニング

以上を踏まえると、今後のディスクロージャー評価の改善可能性を意識した銘柄選別が重要と考えられます。この点を念頭に、2026年度ディスクロージャー優良企業の選定で上位となった企業のうち、今後1位になる余地があると考えられる企業を選別しました。決算発表時やそれ以外の開示、IR(投資家向け広報)イベントを通じて、改善の有無を確認できると考えられます。

2026年度ディスクロージャー優良企業選定上位企業で今後1位になる余地のあると考えられる企業
銘柄コード 銘柄名 2026年度 ディスクロージャー優良企業選定報告書を踏まえた改善余地
1808 長谷工コーポレーション 建設・住宅・不動産で2位。経営陣のIR姿勢は1位で、首位と1.1点差。受注採算や資本政策の定量説明で更なる評価向上の余地
3086 J.フロント リテイリング 小売業で3位。経営陣のIR姿勢や決算開示は高評価。決算以外のIRイベントを増やすことで更なる評価向上の余地
3407 旭化成 化学・繊維で2位。複数分野で1位評価を得ており、首位との差は小さい。社外取締役との対話や事業別の説明の強化で更なる評価向上の余地
4021 日産化学 化学・繊維で3位。説明会等は1位、ESG関連も2位と高水準。研究開発や新製品の成長情報、事業説明会の充実で更なる評価向上の余地
5021 コスモエネルギーホールディングス エネルギー業種で2位。説明会等は1位で、定量的な説明も評価されている。経営陣のIR姿勢や社外取締役との対話強化で更なる評価向上の余地
6361 荏原 機械で2位。経営陣のIR姿勢は1位、説明会・ESGも2位。地域別・用途別需要や利益見通しの説明強化で更なる評価向上の余地
6383 ダイフク 機械で5位。前回比+7.7点で改善が著しい企業に選定。ウェブサイトや事業見学会の充実で更なる評価向上の余地
6503 三菱電機 電気・精密機器で5位。前年比+6.5点で、改善が著しい企業に選定。事業別情報や利益変動要因の定量開示で更なる評価向上の余地
7202 いすゞ自動車 自動車業種で2位。2年間で+7.5点となり、改善が著しい企業に選定。人的資本・ESGや社外取締役との対話で更なる評価向上の余地
7453 良品計画 小売業で2位。説明会等は1位で、前年から順位も上昇。品目別・地域別情報の開示で更なる評価向上の余地
7936 アシックス 小売業で2年連続首位。経営陣のIR関与や投資家向けイベントが強み。月次売上など開示拡充で更なる評価向上の余地
8801 三井不動産 建設・住宅・不動産で3位。経営陣の対話や事業別資料、資本政策の説明が評価されている。社外取締役との対話機会増加で更なる評価向上の余地
9201 日本航空 運輸で3位。5分野中4分野で得点率が改善。事業別収支や増減益分析、不祥事対応の説明で更なる評価向上の余地
9602 東宝 広告・メディア・エンタメで3位。前年7位から上昇し、経営陣のIR姿勢・自主的情報開示は1位。IP事業の定量情報の拡充で更なる評価向上の余地
9603 エイチ・アイ・エス 広告・メディア・エンタメで5位。前年比+15.9点と大幅改善。旅行事業の内訳開示やIRイベント強化で更なる評価向上の余地

(注)2026年度ディスクロージャー優良企業選定上位企業のうちアナリストコメントを踏まえて今後1位になる余地のあると考えられる企業を抽出。業績予想はQUICKコンセンサス(東洋経済予想で補完)。2026年10月13日時点。
(出所)QUICK、東洋経済新報社より野村證券市場戦略リサーチ部作成

(編集:野村證券投資情報部)

編集元アナリストレポート

日本株メモ:ディスクロージャー優良企業の株価形成 – ディスクロージャー優良企業はクオリティ株と重なる傾向(2026年10月14日配信)

(注)各種データや見通しは、編集元アナリストレポートの配信日時点に基づいています。画像はイメージ。

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