2026.11.06 NEW
新免税制度と中国政府の訪日規制がどう影響? インバウンド関連株銘柄リスト 野村證券ストラテジストが解説
2026年11月1日から、訪日客向けに新たな免税店(輸出物品販売場)制度「リファンド方式」が導入されました。従来に比べて一度、税込価格で支払った後に出国時に返金手続きを行う必要があります。足元のインバウンド関連株を取り巻く環境と今後の見通しについて、野村證券ストラテジストが解説します。
インバウンド関連株は訪日観光消費額と連動
日本株内の内需・消費関連テーマ・コンセプトストックの株価形成を見ると、7月末以降、ローテーション相場の中で小幅なリバウンドが出始め、インバウンド関連株も10月に入ってアウトパフォームしています。ただし、2025年以降のアンダーパフォーム基調を脱したとまでは言い難い状況です。
(注)コンセプト・テーマごとに10銘柄前後またはそれ以上の銘柄群の平均リターンを用いてパフォーマンスを計測することで、当該コンセプト・テーマの人気・不人気を大まかに把握するためにモニターするものであり、投資推奨ではありません。
(出所)QUICK、JPX総研より野村證券市場戦略リサーチ部作成
トップダウンから見たテーマ投資評価では、2025年10月以降、インバウンドに慎重姿勢を取り続けている一方、2026年4月以降はアニメを注目テーマとしています。
2010年以降のインバウンド関連株を振り返ると、四半期の訪日観光消費の拡大に連動して株高になりやすい傾向が見られたものの、コロナ禍から訪日観光消費が回復した後は、連動性がやや薄れました。より解像度を上げて見ると、訪日観光消費額が消費全体に占める割合の前年差と、インバウンド関連株の相対株価が連動しやすく、足元でもこうした傾向が続いています。
(注)インバウンド関連株は最下部図表掲載の銘柄群です。等ウェイトで平均リターンを算出しています。直近は2026年10月23日時点です。
(出所)観光庁、内閣府、JPX総研、QUICKより野村證券市場戦略リサーチ部作成
仮に単価低下&客数回復なら百貨店・鉄道が軟調、コト消費が優位に
四半期の訪日観光消費統計を補完する単価・数量統計として、月次で入手可能な百貨店の免税売上や訪日外客数をモニターする株式市場参加者は多くいます。仮に2026年11月以降、免税制度変更の影響で免税売上や訪日観光消費単価が下振れる場合は、百貨店株や鉄道株などがアンダーパフォームする可能性があります(リファンド方式がインバウンド消費に与える影響については、こちらの記事で詳しく解説しています)。一方、2025年11月以降の中国政府による訪日観光抑制効果が一巡し、訪日外客数が回復すれば、空運・空港、ホテル、テーマパーク・コト消費などがアウトパフォームする可能性があります。
バリュエーションからみてインバウンド関連株(除くJR)はTOPIXに対して若干割高
JR4社を除くインバウンド関連株の12ヶ月先予想PERは19.5倍、PBRは2.13倍であり、TOPIX(12ヶ月先予想PERは15.8倍、PBRは1.81倍)に対して若干割高な状況です。
(注)インバウンド関連株は最下部図表掲載の銘柄群です。PERは時価総額加重平均で12ヶ月先予想ベースです。業績予想はQUICKコンセンサス(東洋経済予想で補完)です。直近は2026年10月23日時点です。
(出所)QUICK、東洋経済新報社、JPX総研より野村證券市場戦略リサーチ部作成
(注)インバウンド関連株は最下部図表掲載の銘柄群です。PBRは時価総額加重平均で実績ベースです。直近は2026年10月23日時点です。
(出所)QUICK、JPX総研より野村證券市場戦略リサーチ部作成
過去のインバウンド関連株ラリー時には、TOPIXのバリュエーションに対する大幅なプレミアムが容認される場面もありましたが、足元では、特段の優位性がない限り、インバウンド関連株すべてにプレミアムが適用されることは難しいでしょう。
このため、インバウンド全体に対しては慎重姿勢を継続する中で、前年比で訪日客数が増加に転じた際に恩恵を受けやすい銘柄を中心に、個別に評価するのが妥当と考えています。一方、今後の免税制度変更に伴うマイナス影響を警戒して株安となり、TOPIX並みのバリュエーションとなるインバウンド関連株が増えるような場面では、インバウンド関連株全体に対するトップダウンの評価を上げることも検討したいと考えています。
| 銘柄 コード |
銘柄名 | 時価総額 | 今年度 決算期 |
今期経常 増益率 |
来期経常 増益率 |
来期 PER |
実績 PBR |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| (10億円) | (%) | (%) | (倍) | (倍) | |||
| 2222 | 寿スピリッツ | 401.2 | 2027/03 | 17.2 | 16.3 | 23.2 | 8.79 |
| 2670 | エービーシー·マート | 746.8 | 2027/02 | 6.0 | 5.1 | 14.5 | 1.81 |
| 2780 | コメ兵ホールディングス | 42.2 | 2027/03 | 25.5 | 16.7 | 5.5 | 1.06 |
| 3048 | ビックカメラ | 322.6 | 2027/08 | -2.6 | 6.1 | 15.1 | 1.59 |
| 3086 | J. フロント リテイリング | 751.1 | 2027/02 | 0.6 | 9.4 | 21.9 | 1.63 |
| 3088 | マツキヨココカラ&カンパニー | 1,064.4 | 2027/03 | 5.3 | 5.1 | 16.6 | 1.92 |
| 3099 | 三越伊勢丹ホールディングス | 1,308.5 | 2027/03 | 0.1 | 4.7 | 20.4 | 2.06 |
| 3926 | オープンドア | 13.5 | 2027/03 | 黒字 | 47.1 | 90.2 | 3.98 |
| 4343 | イオンファンタジー | 53.8 | 2027/02 | -2.8 | 26.6 | 11.7 | 6.10 |
| 4661 | オリエンタルランド | 5,907.3 | 2027/03 | 10.6 | 4.2 | 42.9 | 4.77 |
| 4911 | 資生堂 | 1,483.6 | 2026/12 | 黒字 | 17.4 | 27.7 | 2.33 |
| 4922 | コーセーホールディングス | 357.4 | 2026/12 | -4.6 | 7.9 | 26.6 | 1.18 |
| 5032 | ANYCOLOR | 195.5 | 2027/04 | 6.6 | 11.8 | 11.6 | 6.60 |
| 6030 | アドベンチャー | 10.5 | 2027/06 | 94.6 | 27.8 | 6.5 | 1.16 |
| 6561 | HANATOUR JAPAN | 10.1 | 2026/12 | -12.3 | 11.8 | 6.5 | 2.12 |
| 7532 | パン·パシフィック·インターナショナルホールディングス | 2,365.5 | 2027/06 | 2.3 | 10.4 | 18.6 | 3.19 |
| 7936 | アシックス | 3,449.5 | 2026/12 | 37.1 | 14.1 | 23.3 | 9.55 |
| 8136 | サンリオ | 1,664.0 | 2027/03 | 17.6 | 15.4 | 22.1 | 9.68 |
| 8173 | Joshin | 118.9 | 2027/03 | 46.7 | 2.7 | 24.3 | 1.03 |
| 8179 | ロイヤルホールディングス | 141.4 | 2026/12 | 13.7 | 13.3 | 23.0 | 2.49 |
| 8202 | ラオックスホールディングス | 13.5 | 2026/12 | 1557.1 | 51.7 | 22.6 | 0.62 |
| 8233 | 高島屋 | 634.8 | 2027/02 | 8.8 | 2.0 | 14.9 | 1.32 |
| 8237 | 松屋 | 140.6 | 2027/02 | -28.8 | 19.0 | 125.7 | 5.01 |
| 8242 | エイチ·ツー·オー リテイリング | 354.6 | 2027/03 | 3.6 | 5.1 | 14.5 | 1.04 |
| 8252 | 丸井グループ | 514.4 | 2027/03 | 6.4 | 7.9 | 15.7 | 2.06 |
| 9001 | 東武鉄道 | 573.0 | 2027/03 | -4.2 | 1.8 | 11.0 | 0.91 |
| 9003 | 相鉄ホールディングス | 250.7 | 2027/03 | -0.8 | 3.4 | 10.0 | 1.17 |
| 9005 | 東急 | 1,008.2 | 2027/03 | -3.4 | 4.5 | 11.0 | 0.96 |
| 9006 | 京浜急行電鉄 | 433.8 | 2027/03 | 50.6 | -7.4 | 15.2 | 1.09 |
| 9009 | 京成電鉄 | 720.5 | 2027/03 | -1.7 | 8.6 | 15.1 | 1.19 |
| 9010 | 富士急行 | 144.1 | 2027/03 | 1.5 | 8.9 | 22.9 | 3.33 |
| 9020 | 東日本旅客鉄道 | 4,114.5 | 2027/03 | 8.1 | 10.6 | 14.0 | 1.34 |
| 9021 | 西日本旅客鉄道 | 1,417.3 | 2027/03 | -14.7 | -0.9 | 13.7 | 1.16 |
| 9022 | 東海旅客鉄道 | 3,899.9 | 2027/03 | -9.2 | 2.9 | 7.7 | 0.72 |
| 9024 | 西武ホールディングス | 1,087.9 | 2027/03 | 15.7 | 31.3 | 23.4 | 1.58 |
| 9041 | 近鉄グループホールディングス | 656.4 | 2027/03 | -0.0 | 4.9 | 12.6 | 1.05 |
| 9042 | 阪急阪神ホールディングス | 1,154.1 | 2027/03 | -3.6 | 4.5 | 13.6 | 0.96 |
| 9142 | 九州旅客鉄道 | 529.2 | 2027/03 | -5.8 | 10.1 | 9.5 | 1.05 |
| 9201 | 日本航空 | 1,299.2 | 2027/03 | -29.8 | 34.5 | 10.1 | 1.19 |
| 9202 | ANAホールディングス | 1,406.1 | 2027/03 | -29.4 | 33.3 | 9.7 | 1.03 |
| 9603 | エイチ·アイ·エス | 84.6 | 2026/10 | -3.6 | 13.4 | 11.4 | 1.43 |
| 9616 | 共立メンテナンス | 316.0 | 2027/03 | 2.3 | 11.3 | 15.3 | 2.15 |
| 9706 | 日本空港ビルデング | 525.2 | 2027/03 | 10.4 | 3.5 | 18.6 | 2.44 |
| 9722 | 藤田観光 | 186.2 | 2026/12 | -3.7 | 12.5 | 18.5 | 4.25 |
(注)インバウンド関連売上を開示している企業や、インバウンド関連株投信の組み入れ対象銘柄などをもとに作成しています。業績予想はQUICKコンセンサス(東洋経済予想で補完)です。2026年10月23日時点です。
(出所)QUICK、東洋経済新報社より野村證券市場戦略リサーチ部作成
(編集:野村證券投資情報部)
編集元アナリストレポート
ANCHOR REPORT:訪日客向け免税制度が「リファンド方式」へ移行(2026年10月29日配信)
(注)各種データや見通しは、編集元アナリストレポートの配信日時点に基づいています。画像はイメージ。
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